震災から生まれた「まちづくり」への想い、株式会社RETOWNが十三に常設屋台村をオープン

震災から生まれた「まちづくり」への想い、株式会社RETOWNが十三に常設屋台村をオープン


阪神淡路大震災での原体験から「まちづくり」を志し、株式会社RETOWNを創業した代表の松本氏。外食事業で基盤を築きながら、職人の独立支援や寿司職人の学校「飲食人大学」を展開。現在は公民連携による「ローカルデベロッパー」として、インバウンドをローカルエリアに呼び込む賑わい施設づくりに注力している。2026年には、十三エリアに河川敷沿いの常設屋台村をオープン予定だ。


震災から生まれた「まちづくり」への想い、株式会社RETOWNが十三に常設屋台村をオープン

株式会社RETOWN・代表取締役 松本 篤氏




震災が生んだ「まちづくり」への想いを胸に、外食修行から起業へ

現在、大阪を中心に外食事業とまちづくり事業を展開する株式会社RETOWN。社名は「RE(復興)」と「TOWN(まち)」を組み合わせた造語で、創業当初から「まちづくり」を目指してきた。

きっかけは、1995年の阪神淡路大震災だった。当時大学1年生だった松本氏は、神戸・三宮の親戚の店でアルバイトをしていた。震災後、自粛ムードが漂う中、どこよりも早く営業を再開。100坪の店に2000人が押し寄せ、非常階段から人が溢れるほどの盛況ぶりだった。

「一軒の店がまちに与えるインパクトの大きさを感じました。震災から数ヶ月、明るい気持ちになれなかった中で、ようやく日常が戻ってきたあの日の感覚が強く印象に残っていました」。

この経験から、一軒の店を起点としたまちづくりに興味を持つようになる。

大学卒業後、店づくりが学べる会社に就職。支店立ち上げスタッフとして、2年間で70件の店舗オープンに立ち会った。そこで、立地開発から店舗立ち上げ、プロモーション、研修まで一通りの経験を積む。その後、外食チェーンの役員として3年間勤務。50店舗から100店舗へと拡大するプロセスを経験し、チェーン店本部の実務を理解した。

そして、手元の資金からRETOWNを創業。1年目で焼き鳥業態を中心に4店舗を出店した。

「元々まちづくりをやりたかったのですが、まず外食事業でしっかり基盤を作ろうと思っていました。最初の5年は、自分たちが作った業態で直営とFCを含めて店舗展開していきました」



一軒のお店からまちを変えたい、職人を守るための独立支援

外食からスタートしたRETOWNだが、まちづくりという観点から業界を見たとき、チェーン展開による規模拡大は目指すべき方向性とは違った。

「一軒の面白いオーナーからまちが変わっていくのを学生時代から見てきました。」

同時に、約10年前から運営している「飲食人大学」という寿司職人の学校を通じて、職人文化の課題も見えてきた。

「職人の世界は今の若い人に受け入れてもらいにくい。背中を見て覚えろと言われたり、最低賃金を下回る給料だったり、1日16時間労働だったり。間口を広げる必要がありました」

3ヶ月で寿司職人の土俵に上がれる学校を立ち上げ、業界の入り口を広げた。現在は年間250人が卒業し、6〜7割は海外へ就職する。今まで寿司業界に関われなかった若い人や女性も学べるようになり、生徒の2〜3割は女性だ。卒業生が運営する直営店がミシュランのビブグルマンに選ばれた際には、女性の卒業生にも前面に立ってもらうことで、誰でも挑戦できることを示した。

しかし、もう一つの課題があった。

「寿司職人は労働時間が長くなってしまいます。仕入れ、仕込み、営業、片付けで絶対に8時間では終わりません。現状の職人の働き方では、企業として増やしていくのは難しいです」

そこで選んだのが、職人を独立させていく道だ。現在グループで約40店舗あるが、9割はのれん分けが終わっている。

「今の日本の法律では、雇用ではなく独立して事業主になる形でなければ、一流の職人にはたどりつくことが難しいと思います」

職人文化を残すため、のれん分けを中心とした展開に舵を切っている。



十三に常設屋台村!インバウンドをローカルエリアへ

現在、RETOWNが最も力を入れているのが「ローカルデベロッパー」事業だ。公民連携で、行政が持つ土地や建物を活用し、地元を巻き込んだ賑わい施設を作っている。大正、鶴橋に続き、2026年8月には十三エリアに屋台村がオープン予定だ。

事業の背景には、地方の共通課題がある。

「人口減少と高齢化は止められません。コロナ以降、地元の飲食店の売上は2〜3割下がったまま。インバウンドで持ち上げるしかありません」

大阪ではインバウンドが増え続けるが、難波・心斎橋エリアに一極集中している。その恩恵をローカルエリアに分散させることが課題だ。

「オーバーツーリズムを解消しながら、ローカルエリアにもインバウンドに来てもらえるまちづくりがしたい。そのきっかけ作りが賑わい施設です」

十三の屋台村は、2014年の火事で失われた「しょんべん横丁」に代わる賑わい拠点として、淀川区が公募した案件だ。日本初の試みとして、川の土手上に第1期として22店舗の屋台がオープンし、今後最終的には29店舗の屋台を常設する。淀川が増水した際には移動できる可動式の建物になっている。

「普通の店なら1000〜1500万かかるところを、3分の1のコストで出店に挑戦できます。初挑戦の人や2〜3店舗目の人を中心に出店いただくようにしています」

ローカルエリアで活躍していた飲食店オーナーが都心部に出店すると、もう都心部から戻ってくるケースは決して多くない。

「ローカルエリアは空洞化していきます。新しいプレイヤーが出てきやすい仕掛けが必要です」

さらに、高級民泊も展開。コロナ前後でインバウンドの層が変化し、欧米や東アジアの富裕層が増加。よりディープな大阪を体験したいニーズが高まっている。

「12平米のホテルに4〜5泊は、体の大きい欧米の方には狭すぎる。リビング、キッチンのある民泊のニーズが高まっています。宿泊で滞在者を増やして地域を知ってもらい、飲食につなげていきます」

今後は、賑わい施設、宿泊、着地型観光の3つを軸に、地域にお金を落とす仕組みを作っていく。

「一軒の店がまちに影響を与えるのは偶然じゃない。ポテンシャルの弱いまちほど、意図的な仕掛けが必要です」

震災で学んだ「一軒の店の力」を信じ、RETOWNはローカルエリアに新たな賑わいを生み出し続けている。



震災から生まれた「まちづくり」への想い、株式会社RETOWNが十三に常設屋台村をオープン

ミナモ十三屋台村 イメージ写真



震災から生まれた「まちづくり」への想い、株式会社RETOWNが十三に常設屋台村をオープン

ミナモ十三屋台村イメージ写真



 

【店舗情報】

店舗:淀川つつみ市 ミナモ十三 屋台村(よどがわつつみいち みなもじゅうそう やたいむら)

住所:大阪府大阪市淀川区十三東1丁目地先 ミナモ十三屋台村

アクセス:阪急 京都線 十三駅 徒歩約5分

営業時間:各店舗による

定休日:各店舗による

店舗数:22店舗でスタート(最終29店舗)

運営会社:株式会社RETOWN

関連ウェブサイト情報: https://minamo-juso.com/index.html

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