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コラム

繁華街で続々増える「焼売酒場」躍進の理由


アメリカ村でブレイクするインスタライクな焼売酒場

 2021年3月26日、大阪・アメリカ村にオープンした大衆酒場「スタンド酒場焼売銭湯アメリカ村店」が話題になっています。

▲アメリカ村のビックステップの近くにできた焼売銭湯。

▲アメリカ村のビックステップの近くにできた焼売銭湯。



 ブレイクの大きな理由は、店名の通り「銭湯」をイメージした内装や演出がふんだんに取り入れられていることです。昭和ノスタルジーにもつながる郷愁感を持たせつつも、今の若者に新鮮なかわいいものとして映るように仕上げています。そのため、オープン2ヶ月でInstagramのフォロアーが2000超え。#焼売銭湯で検索するとカラフルな写真がたくさん上がってきます。

▲「スタンド酒場焼売銭湯アメリカ村店」のメニュー。

▲「スタンド酒場焼売銭湯アメリカ村店」のメニュー。



 また、こちらではキャッシュオンデリバリー的な、食券制を導入。入店時に、あひる売機というほうが正しいのかも知れませんが、券売機で1羽90円のおふろグッズのアヒルを購入します。
 たとえば、540円の「温泉風玉子焼き」や「叉焼エッグ」を注文した場合は6羽、360円の「しあわせのアジフライ」は4羽といった具合にメニュー到着時にアヒルで支払います。  
 オペレーション人数に限界がある、カウンターメインの飲食店では支払い時さかれるパワーの軽減に役立ち、さらにフォトジェニックなものを求める客のニーズにもフィットした一石二アヒルな成果となっています。

▲アヒル1羽が90円。

▲アヒル1羽が90円。




さらなるキーアイテム「焼売」

 SNSをプロモーション対策として効果を発揮した銭湯演出に加えて、もう一つのキーアイテムとなるのが「焼売」。焼売銭湯の看板メニューは、うす皮肉厚の「鶏焼売」と「豚焼売」各1個90円。粗さの違う2種類のお肉を限りなく薄い皮で包むことで、肉々しい食感が楽しめます。
 ほかにも焼売が看板メニューのお店が続々増えています。4月10日にオープンした「オオサカチャオメン お初天神裏参道」の名物メニューは、個性的なチャオメンと焼売。2019年10月10日にオープンした「酒と肴とせいろ蒸し オオサカチャオメン 」の2号店で、1個160円の「肉焼売」は、「小籠包!?」と思うのほどの肉汁の多さが特徴。ほかに、「砂ずり セロリ蒸し」630円や「穴子 ふっくら蒸し」740円、「アボカド やみつきパン粉」460円などのせいろ蒸しメニューが充実しています。
 四ツ橋筋沿いにあり、オープン以降連日人気の「シュウマイサカバ 満ち汐のロマンス」は、中華をベースにした創作系おつまみメニューが充実し、豚と鶏の焼売が名物。系列に人気ラーメン店「鶏 soba 座銀」があることを生かした「鶏焼売」1個99円は、鶏白湯スープを使用することで生まれるこれまでに無かった味わいで注目を集めています。また、インスタ映えする内装なども好評。ガラス張りのエントランスからにぎやかな店内がうかがえます。

▲「スタンド酒場焼売銭湯アメリカ村店」の「鶏焼売」と「豚焼売」。



▲「オオサカチャオメン お初天神裏参道」の「肉焼売」。

▲「オオサカチャオメン お初天神裏参道」の「肉焼売」。



▲「オオサカチャオメン お初天神裏参道」の3階フロア。

▲「オオサカチャオメン お初天神裏参道」の3階フロア。




フォーマット化できればメリットの多い焼売

 「焼売が嫌いな人ってあまりいないんじゃないですか?」というのは、ある中華バルの店主。いま別の媒体で取材をしているホテルの中華バイキングでも花形的なポジションに置かれています。人気である以外に焼売にはメリットが多数。ひとつはオペレーションの容易さ。事前に作っておいて冷蔵庫から出した焼売を蒸すだけでお客さんに出せるのです。蒸す時間はかかりますが、専用の蒸し器があれば、あとは手間いらず。

▲小規模店であればこういった蒸し器付きの設備を設置することも。

▲小規模店であればこういった蒸し器付きの設備を設置することも。



 事前に作るのが大変なのでは?と思いますが、小規模な店であればワンオペでも事前に作っておく数は知れていますし、大手であればセントラルで作るだけ。冷凍しておけばある程度持ちます。さらに、中国料理業界の面白さがOEMの容易さ。広東料理系の飲茶の世界はメニューの豊富さが魅力。そのため、中国料理の世界では食材の卸売業者がある程度調理したものを用意できるシステムができあがっています。しかも、かなりのカスタマイズも可能。ひな形となる焼売を店が作れば、業者がそれに近い焼売を作って納品してくれるのです。アップルが工場を持たずに設計をし、台湾のメーカーがiPhone製造するように、焼売のレシピを渡せば、それと同じようなものを納品。店では、スタッフが蒸すだけで客に出せるということが可能です。もちろんコストは上がりますが、焼売酒場のヒット店を生み出せれば…と夢見る経営者も出てくるのではないでしょうか。

▲積み重ねて蒸せるのも焼売のメリットのひとつ。

▲積み重ねて蒸せるのも焼売のメリットのひとつ。



 コロナ禍で人材不足の問題が棚上げされた感のある飲食業界ですが、少子化という問題は解消されたわけではないので、景気が戻れば同じ悩みが復活するのは、間違いありません。その時を見据えて、焼売酒場がこれからも増えるのではないでしょうか。

●スタンド酒場焼売銭湯アメリカ村店(syumai0305)
https://www.instagram.com/syumai0305/?hl=ja

●オオサカチャオメン(osaka.chaomen)
https://www.instagram.com/osaka.chaomen/?hl=ja

●シュウマイサカバ 満ち汐のロマンス(michishionoromance)
https://www.instagram.com/michishionoromance/?hl=ja

(取材=フードスタジアム関西 マーケティングディレクター・髙田 強)

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