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インタビュー

組織と個人のいいとこ取りとは?店長不在の手法で業績が伸びる理由に迫る! ~Vol.1 株式会社クラマ計画 佐竹伸彦社長~

独自の取り組みや経営手法で、これまでになかった飲食のカタチを生みだし続ける経営者たち。新型コロナウイルスによる緊急事態宣言で多大な影響を受ける中でも売上を維持し続けている理由はどこにあるのか。人気店を運営する経営者に話を伺った。


佐竹社長

株式会社クラマ計画 佐竹伸彦社長

実家が商売をしており、中学生のころから将来は何か商売をしたいと考えていた佐竹氏。電機メーカーのエンジニアから飲食業界へ転身し、国内・海外で料理の修行を積んだあと、大阪・天満に居酒屋を出店。当初は夫婦で経営する小さな店だったが、スタッフのためにも店舗拡大を決意。「組織的個人店集団」というコンセプトを掲げて新しい組織づくりに挑み、現在は11店舗を展開している。

 

“店長不在”という新しい組織とは?

もともとはSEとして勤務していましたが、好きなことができる働き方がしたくて飲食業界へ。飲食業界で働く人は、料理が好きな人や接客が好きな人など、何か「これがやりたい!」「この仕事が好き!」という気持ちを持った人が多いので、働く人たちが好きなことができる場所を作れば楽しい職場になるんじゃないかと思って今のような組織になりました。

最初のころは店長も決めていたのですが、店長の仕事はお店やスタッフの管理、衛生管理など管理業務ばかりで、実は細分化すれば分担できることに気づいたんです。必要な業務を全員で分担して、ほかは好きなことをやる。それが当社のスタンスなんです。

店長不在でもっとトラブルがあるかと覚悟していたのですが、意外と困ることはなかったですね。強いて言えば、「店長がいない」という文化に慣れていない人に、どうやって理解してもらうかが大変でした。最近では店長不在の文化がかなり浸透してきて、そこに共感して入社してくれる人も増えてきましたね。

査定システムも特殊で、全員で評価し合うんです。お店や会社に貢献していると思った人に高い点をつける。他の人から高い点をもらえれば収入も上がるというシステム。例えば、飲食歴が長くて新人の教育も熱心にしたり、普段から他店舗の問題に気づいて的確なアドバイスをしたりする人は、尊敬されて評価も高くなります。そういう人は自然と店長っぽい立場になっていくので、わざわざ僕が店長を指名する意味もないかなと思って店長職を廃止にしたんです。

僕は飲食店では個人店が最強だと思っていて、個人のセンスをそのままお店に出してもらっています。「組織的個人店集団」というコンセプトのもと、基本的に個人店だと思ってやってもらっているんです。とはいえ組織でもあるから、一緒に働く仲間としてのチーム感もあって、みんなで競争し合ったり、刺激し合って発奮材料にもなる。経費削減の方法やお店で流行っているメニュー、お客様が喜んでくれたサービスなど、週報という形で定期的に情報共有は欠かさずしています。

もう一つ、資金の面でも組織のメリットがあって、コロナの影響で閉店した店舗もありましたが、何とかやってこられたのも組織と個人、両方のチカラだと思っています。

 

立ち呑みの業態を多く展開されていますが、何か工夫をされているところは?

クラマ計画_メニュー1立ち呑み屋なら、作業効率を考えてスタッフがほとんど動かなくていいような店舗設計にしています。僕が店舗に関わるのは、ある程度の経費コントロールができる設計までで、オープンした後はスタッフにお任せしています。

僕はもともと異業種から転職して5年ほど料理の仕事をしてきて料理が好きだと思っていたんですけど、この業界に入ってみると、もっと料理好きな人がいっぱいいて(笑)。もうそこはお任せして、今はお店の設計やデザインなどお店作りに特化しています。僕はそこが好きだなと思ってこの仕事をしているから、他の社員にも好きなことをしてほしい。お互いに好きなことができると楽しく働けますよね。

当社にきてくれるスタッフは、いつか独立したいという人が多いんです。ステップアップの場として当社を使ってもらうのは大歓迎。そういう人なら料理や接客など、将来の自分の店を見据えていろいろ考えてやってくれるから、お互いにありがたいんです。現場で社員一人ひとりが好きなことをやる、それがお店の繁盛にもつながるし、会社の利益にもつながっています。

コロナで厳しい状況が続いていますが、どういう対応をしたのでしょうか?

クラマ計画_ドリンクコロナの影響で緊急事態宣言が出て、「やっと僕の出番だ」と思ってECサイトを作るなど新規事業に着手してみたのですが、やっぱり社員たちはリアルな場所で料理や接客するのが好きな人たちだから、あまり乗り気ではなくて(笑)。ただYouTubeチャンネルを始めて、それは継続していますね。弊社の店舗はスタッフとお客様の仲が良くて、常連さんで成り立っているような商売です。コロナの時でも常連さんにすごく助けていただいたし、常連さんに喜んでもらえるような動画をアップしてもらっています。例えば、新しいメニューをどうやって考えているのかとか、普段は見られないような内輪ネタを発信しています。

飲食業と言ってもいろいろで、基本的には商品となる料理と、空間と、人だと思っています。その3つの割合が店舗によって異なります。チェーンの定食屋だと商品の構成率が高く、バーだと空間の比率が大きい。そして僕たちの店は人の比率が大きいんです。こういう商売の仕方はコロナの影響を受けやすく、直接お客様と会わなければ本来の価値を提供できません。今流行りのデリバリーをやってみたところで、人と空間の価値が消えているのに商品だけを提供しても、本来の価値には届かないんです。

僕たちは飲食業と言いつつ、実はエンターテインメントの要素が強いと思っています。仕事帰りや休日など自分の余暇の時間を僕たちのお店に足を運んで来てお金を使ってくれる。この市場は今や激戦区で、YouTubeを見たりジムに通ったりカラオケに行ったり、いろんな過ごし方があります。そんな市場の中で僕たちが勝ち残っていくためには、自分たちの本来の価値をもっと磨いていくしかないんです。コロナの影響も含めて、これからさらに厳しい状況は続いていくと思いますが、今のスタッフの様子を見ていると、この強みでやっていけると確信しています。

 

株式会社クラマ計画HP:https://www.kuramaproject.com/

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