飲食店に多大な影響をもたらした新型コロナウイルス。緊急事態宣言にともなう外出自粛要請で客足が激減、休業か営業継続か。店内営業ができなくなった店はテイクアウトやデリバリーに取り組むなど、コロナショックでオーナー達はどのように考え、行動していたのか、どんな心境にあったのか……。コロナショック下におけるオーナー達の姿を探るべく、インタビューを実施。
第一回は、『日本酒と泡とおでん スタンド酒場てんてん』や『満マル』などの人気店舗を展開する株式会社てんてんの中島一薫さんに話を伺った。
株式会社てんてん 代表取締役 中島一薫
米の研ぎ方も知らなかった学生時代に少しずつ自炊を覚え、友人からの「美味しい」の言葉をきっかけに飲食の道へ。2007年に創業店舗となる『居酒屋てんてん』を出店し、寿司と串カツをメインにした居酒屋や、なにわポーク専門店、立ち飲みが楽しめる『日本酒と泡とおでん スタンド酒場てんてん』など地元の人に愛される飲食店を展開している。
店舗ごとに休業や時短営業へ。売上は通常の1/4程度に。
以前は「2030年までに100店舗を目指す」というビジョンを掲げていましたが、2020年度から「100人のリーダーを育てる」という人財育成へシフトチェンジ。出店を控えて人財育成にさらに力を入れようとしていたころ、新型コロナウイルスの影響が広がりました。緊急事態宣言を受けて休業したり時短で営業したりするなど、店舗ごとに対応。それでも影響は大きく、売上は通常の1/4程度に激減。来店以外の道を模索しました。
クラウドファンディングからスタートした新しい飲食店のカタチ
店舗の統括スタッフが率先してお弁当販売を提案してくれて、4店舗でお弁当の販売をスタート。お店の常連さん以外にも新規のお客様が買いに来てくれたりして、1日に300~400個ほど売り上げることができました。日替わり弁当の他にも、店舗によってはオーダーを受けてから作って提供するサービスも実施。そのためのチラシ作りもスタッフが積極的に取り組んでくれました。
今は来店してもらえなくてもコロナが落ち着いたら使ってもらえるお食事券の販売をするためにクラウドファンディングも新しく立ち上げました。期限内に目標金額も達成。でも、お食事券では来店が必要です。遠方の知人が何人もお食事券を購入してくれたことから、遠方の人にも何か別の形で「てんてん」の味を届けたいという思い、新たに通販サイト『Food LABO てんてん』をスタートさせました。通販に必要な資格の申請も済ませ、『BooBooキッチン』のお店の味が楽しめる商品を提供。今後はオリジナルの日本酒の販売も始める予定です。
現在、お弁当の販売は数を縮小しているものの、通販サイトに加えてデリバリーの提供も徐々に広げていきます。実店舗を持たずにデリバリーサービスができる「ゴーストレストラン」にも出店を予定しています。
人とのつながりに感謝。これからは来店以外のサービス提供にも力を入れる。
今、コロナの影響で飲食店としては本当に厳しい状況です。そんな中でも危機意識を持ち、自分から考えて行動してくれるスタッフが増えたことは嬉しい驚きでした。今当社が掲げる目標は人財育成。アルバイトから就職してくれるスタッフを増やし、社内での勉強会を実施するなどみんなで成長していってほしいですね。
スタッフだけではなく知人や業者さんなど、クラウドファンディングや通販サイトといった新しい取り組みを始めた時にたくさんの人に助けていただきました。このコロナ禍でいろんな人とのつながりに支えられたことを実感しました。これからも来店型の営業スタイルだけでは厳しい状況は続くと思います。テイクアウトやデリバリー、通販など幅広い形態で当店の味と一緒に元気と笑顔を届けたいと思います。
株式会社てんてんHP:https://tenten-dream.co.jp/
【Food LABO てんてん】通販サイト:https://tententuu.base.shop/