ラーメン界では、マイノリティとも言える『塩』にこだわったジャンルで人気店となった「塩ラーメン専門 龍旗信」。その店主の松原龍司さんが2020年12月、千日前の一等地にカジュアルなワイン酒場をオープンした。「コロナ禍で国内の6店の内、3店が休業している状態で次を考えているところにこの物件を紹介されて。こちらの条件をある程度受け入れてくれたので出店しました」と松原さん。インバウンドのニーズが高かった京都や、関西空港など、当面再開の見込みが見えない店があったことから、8月に出店を決めて、12月20日のオープンを迎えた。
新店舗の場所は、難波でも戎橋筋商店街のすぐそばという好立地。OsakaMetroなんば駅の11番出口から、徒歩1分で店に到着する。物件は、地下のある1・2階の一棟貸し。「最初は、塩ラーメンの店にしようと考えましたが、それでは採算が合わないんで酒場スタイルにしました」と、新店舗の業態は、カジュアルな酒場スタイルに決めた。フランス、イタリア、スペインと出店してきた経験から、地下をおもしろく使いたいと考え、松原さんの幼なじみでワインショップ「トム・ギャルソン」を経営する冨尾さんに相談。地階をワインセラーとして使うことにした。「若い人に来てもらう店にしないといけないと思ったんで」と同時に相談したのが一人娘の如美さん。23歳の若い意見を聞くうちに店の内容が固まっていった。
オープンが決まってからは、如美さんと人気の大衆酒場を巡り、メニュー内容を煮詰めていった。特に店の内装などは、如美さんやその友達の意見に耳を傾けた。結果的に、1階はカウンターをメインにスッキリとしたイメージに仕上げた。さらに2階は、パーティニーズに応えられるソファなどを配し、贅沢感のありリビングのような空間に。また、地下は壁面にワインラックを並べ、客が直接好みのワインを選べるワインセラーにした。赤・白・泡のボトルワインは、ほとんどが2,000~4,000円台で、常時30種ほどから選べる。
メニューは、肉汁餃子230円など、4種ある焼き餃子や和牛ピリ辛すじ焼き550円、小判フカヒレ特上DADA白湯煮込み780円などのおすすめ以外に、前菜、揚げ物から、シメのごはんものやデザートまで多彩にそろえる。もちろん麺類もラインアップ。龍旗信譲りのスープを継承するDADA上湯塩ラーメン850円のほか、トリュフと濃厚ウニ白湯ホタテ塩混ぜそば1,600円やトマトのぺぺロン塩マゼソバ1,100円、エビの明太クリームマゼソバ1,200円など、ワインなどのアルコールに合うまぜそばを充実させている。
松原さんや右腕的スタッフである北畠さんは、ビストロスタイルのパリ店でラーメン以外のメニュー開発を経験済み。メニューや内装を話し合っているうちに、関空店で厨房やオペレーションを任されていたこともある如美さんが店長を務めることになった。「いままでラーメンしか作ってこなかったスタッフが、この店で働きたいと手を挙げてくれたのもうれしかった」と松原さん。休業中の店のスタッフや厨房機器を集結して開店にこぎ着けた。
メニューや内装だけでなく、看板や店内に流行のネオンサインを使うなど、徹底的に人気の酒場を研究。取材時は時短営業要請の真っ只中だったが、「将来的には24時間営業にしたい」と松原さん。キャリア30年以上という関西ラーメン界のレジェンドが打つコロナ禍の一手に注目が集まっている。
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店舗データ
店名 | VINO DADA Sakba Ryukishin |
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住所 | 大阪市中央区難波3-6-6 |
アクセス | 地下鉄各線「大阪難波」駅から徒歩7分 |
電話 | 06-6634-6066 |
営業時間 | 11:00~21:00 ※時短営業要請時の営業時間、変更の可能性あり |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 120平米 47席 |
客単価 | 夜2,300~2,500円 |
運営会社 | 株式会社 龍旗信 |
オープン日 | 2020年12月 |