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【神戸特集vol.16】塩屋「PIZZA AKIRATSCH」地に足をつけて一段ずつ。楽しさと感謝からはじめた道のり。

塩屋駅からすぐに店を構える「PIZZA AKIRATSCH(ピザ アキラッチ)」。始まりは2016年12月、塩屋の坂の途中にあるカウンター8席だけの店だった。20代をバンドに費やし、塩屋の海で漁師もしていた大川氏が、ピザ職人を志して開いた店である。掲げる言葉は「ピザを気軽に、もっと身近に」。いまや冷凍ピザは全国のスーパーや、ふるさと納税でも販売され、スタッフは総勢30名ほどになった。それでも「うちはコツコツ一段ずつ。そんな爆発的には何もないです」と語る。いまでも拠点をめぐり「何か困ったことはないですか」と声をかけて歩く。株式会社アキラッチ代表取締役・大川陽氏に、創業からの道筋と、この町への想いを伺った。


フースタ関西|【神戸特集vol.16】塩屋「PIZZA AKIRATSCH」地に足をつけて一段ずつ。楽しさと感謝からはじめた道のり。

株式会社アキラッチ 代表取締役 大川陽氏



1. お店を始めたきっかけ

大川氏の20代は、まるごとバンド一色だったという。

「ずっとバンドマンやったんです。プロになろうという感じでやってたんですけど、バンドが解散して、次何しようかなって。」

その「次」の答えは、意外なところに転がっていた。趣味の食べ歩きである。

「ピザを食べ歩いてたりしてたので、自分でも作ってみたいなっていうのが、本当にそれがきっかけです。」

食べ歩いた先は東京が多く、関西圏はもちろん、香川や徳島の有名店にも足を運んだ。そして趣味は、そのまま志望に変わった。

「職人になりたいなと」

5年ほど修行した後の33歳、2016年12月、塩屋町3丁目にカウンター8席だけの小さな店を開いた。ピザを1カットから買える、町のピザ屋である。

なぜ塩屋だったのか。理由は二つあった。

「元々この塩屋で漁師をやってたので。というのが一つと、あとはグッゲンハイム邸っていうところにシェアハウスがありまして、そこに僕が住んでたんですね。」

旧グッゲンハイム邸は、塩屋に残る明治期の洋館である。2007年から貸会場として開かれ、音楽イベントや展示の舞台として知られてきた。大川氏はその敷地のシェアハウスに暮らしながら、海では漁に出ていた。

「塩屋に結構、縁があったっていうのが一番大きいですね。友達も多くて。」

地元は別で、そちらで開く選択肢もあった。迷った末に、塩屋を選ぶ。

「やっぱり塩屋の方が愛着あるので、ここでやりたいかなという感じでした。」

創業の半年前、次男が生まれたばかりだった。奥様に頼んだのは、あくまで一時的な助っ人である。

「本当にオープンだけはちょっと忙しいから、一、二ヶ月手伝って、っていうのが始まりで。」

「最初は手伝ってもらうだけで、2人でやるつもりはなかったんです。」

結果として、その一、二ヶ月は10年続いている。

一枚の写真がある。海辺で、幼い子どもと撮ったものだ。冷凍ピザを作り、ECサイトを立ち上げようとしていた頃に撮ってもらったのだという。

神戸・塩屋のピザ、という言葉が、そのまま一枚の絵になったような写真である。写る子どもは、父の焼いたピザを食べて育ってきた。


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家族や友人との思い出で紡がれる「PIZZA AKIRATSCH(ピザ アキラッチ)」




2.こだわっていること

最初から国産にこだわっていたわけではない。むしろ逆だった。

「元々修行していた店は、イタリアの粉を使って現地のものを再現するっていうところでした。そういうピッツェリアが当時は多かったので、それに倣って僕もイタリアの小麦粉を使ってやってたんですけど。」

転機は、腕が上がってから訪れる。

「やっぱりイタリアの粉を使っても、イタリアで感じた食べたときの衝撃というか、本質っていうのは、なかなか再現できないんじゃないかって。」

そこで見方が反転した。日本人が作るなら、日本のもので作ればいい。しかも塩屋には、漁港がある。

「この塩屋だったら漁港はすぐ近くにありますし。元々僕は漁師の仕事をしてたから、その繋がりもあって海産物の仕入れができるので。」

現在、生地は兵庫県産「北野坂」や北海道産「はるゆたか」など4種類の小麦粉をブレンドしたもの。原材料は小麦粉・水・塩・酵母のみで、添加物は使わない。具材には塩屋の釜揚げしらすと海苔、神戸産の天然真ダコ、淡路島和牛、六甲シャンピニオン、地元豆腐店の豆乳などが並ぶ。

「可能な限り地元の食材を使い、国産国消、地産地消を目指しています。」


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直径約30cmのピザは定番の「マルゲリータ」が人気



もう一つの柱、冷凍ピザは、切実な事情から生まれている。

「創業時は本当に勢いだけで始めたので。実際やり始めると、塩屋という商圏はかなり難しいものがありました。もちろん元町とか三宮とかみたいに人がいるわけではないので、駅前ロータリーもないですし。」

「何か販路を広げなくちゃいけないなっていうときに、冷凍ピザを作れるんじゃないかなって。生地を開発というか改良し始めたのがきっかけです。」

当初は店用と冷凍用で、水分量、イーストの量、発酵時間を分けていた。だが管理が煩雑になる。

「最終的に納得のいく水分量で生地が作れるようになったら、もうこれを共通にして、発酵の加減でちょっと調整していくっていうので満足いくものができた。それに落としどころがついたかな、という感じですね。」

冷凍ピザが軌道に乗るにつれ、作る枚数は一人では追えなくなっていった。

「こだわりすぎると、もう誰もできなくなっちゃうので。今は自社で製造所を設け、そこで作っています。」

「最近までずっと僕が焼いてました」と言い添えたところに、この10年の重さがある。

その冷凍ピザが、他の冷凍食品売場にあるものと何が違うか。答えは明快だった。

「いい悪いじゃないんですけど、添加物を入れる必要がないので。本当に店で作ってて、お客さんが支持していただいてるものを作って、急速冷凍をかけてるっていうだけなので。」

「お店で食べた味を再現できてるっていうところが、味の違いじゃないかなと思ってます。」

添加物を入れないことは、そのまま客層の広さにもなっている。

「お子さんも安心して食べていただけます。」と。

ピザ以外のメニューも、同じ発想から生まれている。ラザニアは、ピザ用のホワイトソースをアレンジしたものだ。

「アレンジを加えるとすごく美味しいソースができるというか、前からずっとレシピとして持ってたんで、何かできないかなっていう。」

「ラザニアってあんまり買って帰って食べるとかないので、こういうのをやっぱり面白いんじゃないかっていうのがスタートですかね。」


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ソースが自慢の「ラザニア」は通販でも購入可能



イタリアの惣菜類は、バンド時代の後輩でもある社員が持ち込んだ。

「その子が持ってるレシピとか技術があるので、そういうのをどんどん商品化しています。」

店づくりにも、塩屋という土地への読みが入っている。現在の店舗は、元ケーキ屋の居抜きだ。冷凍ピザが動き始め、大きな保管スペースが必要になったタイミングで、話が舞い込んだ。設計は、高校の後輩の工務店に任せた。

「タイルとかもちょっとイタリアっぽい柄にしたり、そのへんのおしゃれさはちょっと気を使いました。やっぱり昔ながらの様子だと、地元の人しか入りにくいっていうところがちょっとあったので。」

「若い人とか、気軽に入ってきてもらいやすいように、ガラス張りで外から見やすいようにしてっていう感じで、カウンターも構えて。別に中に入らなくても、外で完結させる。販路を増やすっていう目的と一緒に、お客様の買いやすさを実現していく。この辺はちょっとこだわったところですね。」

内装のイメージは、海辺を重ねたものだという。

「ナポリが海辺なんで。塩屋もちょっと似てるとこあるので。」

ロゴの原型をつくったのは店舗をデザインした人物だが、そこに手を入れたのは奥様だった。モチーフは三つ。子どもと、ピザと、犬である。

「元々飼ってた犬なんです。」

デザインの仕事をしていたわけではない。店を一緒にやり始めてから、ホームページ、ECサイト、メニューブック、名刺まで手がけるようになった。「今はそういうことができるようになったので」と。メニューブックの表紙を飾るイラストは、塩屋在住のイラストレーターに創業当時に描いてもらったもの。当時の店舗イメージと旧グッゲンハイム邸や山陽電車が一緒に描き込まれた、この町らしい一枚である。

また価格についても、譲れない部分がある。

「マルゲリータは元々580円だったんです、創業のときは。美味しくて安いっていうのは、それだけ価値があるもんやと思うんで、そういう感動を届けたいなっていう。」

「物価の上昇とかもあるので、ちょっとずつ上げてますけど、1000円は下回りたいなっていうので、メインメニューはギリギリそこを抑えたいな、という感じですね。」

一方、ここでしか食べられない一枚も揃える。「塩屋海苔のロマニスタピザ」は、アンチョビとオレガノ、ニンニクを使うローマ風の一枚に、塩屋の海苔を重ねたものだ。ロマニスタ、すなわちローマっ子。名付けたのは大川氏自身である。

「お客さんがどんなんやったら喜ぶかなっていう視点で考えてますね。」


ご当地ピザの一枚「神戸“夜明けしらす”のマリナーラ」は、神戸セレクション2024にも認定されている。もっとも、人気の序列ははっきりしている。

「マルゲリータが圧倒的ですね」

ただし週末は違う、とも言う。

「土日とかは、ご当地ピザを食べていかれますね。」


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港町ならではのピザ「神戸“夜明けしらす”のマリナーラ」




3. スタッフとの関係で大切にしていること

正社員やパート・アルバイトを含め、現在は総勢30名ほど。大川氏自身は最近、現場から離れている。そこで始めたのが巡回だ。

「各拠点を回るようにしてるんですけど、何か困ったことないですかとか、何か声をかけると、ちょっと聞いてくださいみたいな感じでコミュニケーションが生まれて。」

意識しているのは、教えることではない。

「まずは、こっちが、うちで働いてくれてることに感謝するっていう気持ちをもっと伝えるっていうところは、一番意識してますね。」

「こういうことあったら、いつでも言ってくださいね、絶対解決しますからねっていう姿勢でいくと、頼ってきてくれますし、すごく場が明るくなっているというか、職場がいい雰囲気になっていくっていうのを感じているので、そこはめちゃくちゃ心がけてるとこですね。」

「教育という教育は、別にしてないですね。」

「でもコミュニケーションはもう、めちゃくちゃ注力してます。」

採用の入り口も、その延長線上にある。バンド時代の後輩。小中高とずっと一緒だった、一つ下の後輩。声をかける場面は、たいてい立ち話だ。

「うち、ちょっと忙しくなってきてんねん、なんか今のとこ辞めるんやったら、うちに来たら、みたいな感じで。本当にもう立ち話程度の感じで言ってたら、ある日、雇ってくれへんか、と。」

軽く聞こえるが、経営者としての葛藤は別にある。

小さな個人事業から始めた身にとって、社員が一人増えることは、責任が増えることでもある。それでも、と大川氏は言う。

「結果的には、来てもらって本当めちゃくちゃ助かりますし。今となってはもう欠かせない人なんで。」

だが順風ばかりではなかった。

「忙しさにかまけて、なかなかコミュニケーションが取れない時期もあったんです。そのときかな、やっぱりちょっと言えないこととか、何か気遣うところが出てきてしまって。あんまりうまく噛み合ってない時期があったんですね。」

象徴的だったのが、呼び名だった。幼なじみである社員が、彼を「社長」と呼び始めた。

「ちょっと距離感があったりしたので、もうそういうのやめようみたいな感じで、もっとコミュニケーションを取っていこうと。今は、ちゃんと話して、やり始めていって、改善されていって、社内の雰囲気も良くなって、みたいな感じですね。」

役職についての考え方も、そこに通じている。

「結局、社長っていう役割をやってるだけで、別に偉くもないですし。ただやっぱり何かを決めていく仕事をしてるので、決めたことを現場でやってもらってますが、そこには上も下もないので。」


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楽しむことへの思いを大切にして作られるピザ




4. 印象に残るお客様とのエピソード

創業当初、お客さんは店から見渡せる範囲にしかいなかった。その輪が広がっていく最初のきっかけは、コロナ禍の直前に出た商談会だったという。

「コロナに入るか入らないかの直前、商談会に初めて出たんですけど、そのとき神戸の頒布会のカタログギフトとかやってる企業に採用していただいて。神戸大丸にも出店できるっていうのが決まったんですね。」

そこから、話が動き出す。

「それを見た人から、うちにも置いてくれみたいな感じでちょっとずつ話が広がっていって。塩屋でとれるしらすとか、神戸のタコとか使ってると、やっぱり特色があるので、ふるさと納税にできるんじゃないみたいな感じで。」

華々しい飛躍ではない。本人の言葉は、もっと切実だ。

「そこで首の皮1枚繋がって、っていう感じですかね。」

「とにかくアポ取って、店もやりながら、店の定休日のときにそういう活動して、みたいな感じです。」

当時、動ける人間は二人しかいなかった。

「僕と妻しかいなかったので、もう2人でとにかく頑張るみたいな感じでした。」

その積み重ねの先に、いまの客層がある。認知の入り口として一番大きいのは、スーパーへの卸だ。だが大川氏が「うちの強み」と呼ぶのは、そこではない。

「実店舗があるっていうのが、うちの強みだと思ってて。」

「スーパーで食べた、美味しかった、調べたら実店舗があるやん、行ってみたいっていう人がめちゃくちゃ多い。」

関西圏で食べた人なら、塩屋まで足を運べる。届かないのは、遠くの人だ。

「それが東京の例えば世田谷とか、自分の家の近くにあるところで食べて美味しかったってなっても、そこに応えてあげることができないというか。」

それでも、遠くから声は届く。

「DMで、本当に美味しいので、ぜひ来てくださいっていうメッセージをくれる人もいるんですけど、やっぱりちょっと距離が離れてる方とどうやってコミュニケーション取っていけばいいかなっていうのは、すごく課題としてあって。」

その課題に対する答えが、遠征である。関東や九州など、商品を置いてもらっている先へ、自ら足を運ぶ。

「できたら店頭販売をさせてもらって、神戸から来ましたみたいな感じでやると、すごく喜んでもらったりとか。そういうので、ちょっと地道にやっていってるという状態ですね。」

売場に立った際は、SNSがあること、ECサイトがあることを直接伝える。LINEの登録をお願いする。

「より日常的にうちの商品に触れてもらうというか、新商品が出たときの情報をキャッチしてもらいやすいように。」

塩屋の小さな店で焼いた一枚が、遠くの誰かの食卓に届く。その人にもう一度会いに、自分から出向く。10年かけて繋げてきた輪を大切に広げていく。


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ふるさと納税や催事を通じて塩屋のピザは全国の食




5. これからやってみたいこと

「自分のとこで作ってるピザに乗せる具材は、提携の農場を名乗れるようなところからのものを使って、本当にオリジナリティのあるものにしたいなっていうのが一つあります。」

そして、自社で農業をやる可能性にも触れる。

「もしやるとしたら、そこでまた雇用というか、地域創生もできると思うので。そんな大それたもんじゃないですけど、周りの住民の方も巻き込んで、面白いことができればいいかなっていう思いもあります。」

もう一つは、同業への視線である。

「やっぱり飲食店は今めちゃくちゃ厳しい時代で。僕も同業だからわかるんですけど、全てのものが値上がりしていく中で、休みもキープしなきゃいけない。」

「昔はもう365日、12時間以上働いてても、それが当たり前だったんですけど、今はちゃんと休んで、しっかり働く。その中でクオリティの高いものを生み出すっていうのが必須になってきてるので、そこに何か力になれないかなと思ってて。」

自社が持っているのは、生地を作る技術と、仕込みを担える能力だ。

「仕込み代行とか、うちのピザ生地を使って、喫茶店とかメニュー増やしたらどうですかとか、そういうBtoBの方もやっていきたいなっていうのは考えてます。それを使ってフランチャイズとかもできるんじゃないかなというのを、いま模索してるところです。」

イベント出店にも、ここ数年で変化があった。コロナ前は、自ら応募して出ていた時期がある。出店者募集を見つけては手を挙げていた。だがコロナでイベントも止まり、道具は全部処分した。ちょうど冷凍ピザ事業が動き始めた頃でもある。

「もうイベントはいいか、という感じで。しばらくは出てなかったです。誘われても断ったりとか。」

「イベントって天気に左右されるので、結構ギャンブル的なとこもあって。」

再開のきっかけは、サッカーだった。もともとヴィッセル神戸のファンで、サッカースクールにも縁がある。

「そういうところでピザ屋やってるんです。と話をしたら、出てみますかみたいな感じで。それは、もう好きなチームのイベントなのでということで。」

その出店に合わせて、移動用のピザ窯を導入した。以前とは条件がまるで違う。

「昔みたいに、イベントのためだけに用意するっていうのはだいぶ減ってきましたし、スタッフもいるので。フットワークが軽くなりました。」

「店を閉めて参加するとか、大変な準備もなくて、店を開けながら僕と奥さんで行くことができるようになった。」

だから今は、誘われれば出る。

「知り合いに声かけられたら出ますよ、みたいな感じで今に至ると思います。」



6. この街(神戸)への想いを聞かせてください

最後に、塩屋という街、そして神戸について話を聞いた。

「塩屋で僕が創業したとき、いろいろ売上の計画とかを入れると、塩屋ではやっていけへんっていう感じだったんです。」

ところが、10年経ってみると景色が違う。若い人が店を出し、流行っている店もいくつかある。

「そういうことを考えると、最近思うのは、売上にとらわれすぎるとすごく苦しい。」

「自分がせっかく夢に満ちて開いたお店が、売上に囚われることによって足かせになっていくっていうのをすごく感じていて。僕も最初の方はそうだったんですけど。」

では何に重きを置くのか。

「やっぱり楽しむっていうところに重きを置くと、結果が後からついてくるというか。声も広がっていくというか。」

「難しい顔して店に立ってて、お客さんに、なんか買わないと駄目だよなみたいな感じにさせる人と、そうじゃない人。やっぱり人が寄ってくるお店は違うので。」

「塩屋は外から見ると、お店も少ないですし、ましてや駅前ロータリーもなくて、寂れた町やなっていうふうに映るかもしれないんですけど、週末は結構人も訪れてきますし、それなりに賑わってる部分もあるんですよ。」

「ローカルだけど本当に自分たちの人生を楽しむための、一つの手段としてお店をやっている。塩屋って結構そこが特化しているなって思います。」

三宮や元町の厳しさも、同業者としてわかっている。そのうえで、こう続けた。

「背負いすぎない。逆にもうちょっと気楽にじゃないですけど、やることをやって、人生楽しんでいくっていうスタイルも、逆にいいんじゃないかなって思ったりします。」

「塩屋はデメリットをメリットに変えた町というか、なんかそんな気がします。」

そして、10年という時間が、外からの評価を変えた。

「創業から10年経ちますけど、10年前とは全然、町の評価が違います。塩屋でやってるって言ったら、最近盛り上がってるよね、みたいな感じでよく言われます。」

「そういうところは発信していきたいなと思ってます。」

2016年12月、カウンター8席。バンドをやめ、海を知り、粉と向き合った男が開いたピザ店の味は、いま全国の食卓に届いている。売上より「楽しむ」こと「感謝する」ことに向き合った。その想いが、この街のピザを、思いのほか遠くまで運んでいるようだ。


フースタ関西|【神戸特集vol.16】塩屋「PIZZA AKIRATSCH」地に足をつけて一段ずつ。楽しさと感謝からはじめた道のり。


■会社情報

会社名:株式会社アキラッチ(AKIRATSCH Co.,Ltd)

代表者:代表取締役 大川 陽

店舗:PIZZA AKIRATSCH/〒655-0872 兵庫県神戸市垂水区塩屋町1-2-46(山陽塩屋駅すぐ)

TEL:078-754-6322

営業時間:11:00〜19:00(生地がなくなり次第終了)

創業:2016年12月(PIZZA AKIRATSCH 開業)

設立:2022年5月

従業員数:約30名(パート・アルバイト含む/2026年9月取材時点)

事業内容:ピザ・イタリア惣菜の製造販売、冷凍ピザの製造および通信販売、卸売、イベント出店

コンセプト:ピザを気軽に、もっと身近に。/想い×技術=愛される塩屋ピザ

主な商品:塩屋の町のマルゲリータ/神戸夜明けしらすのマリナーラ(神戸セレクション2024認定)/神戸産 天然真ダコのピザ/塩屋海苔のロマニスタピザ/淡路島和牛使用 ピザ・ボロネーゼ/白い塩屋/クアトロ・フォルマッジ/ラザニア〜挽き肉の赤ワイン煮〜 ほか(ピザは直径約30cm・12ピース)

戦略:店頭、オンラインショップ、ふるさと納税(神戸市)、カタログギフト・頒布会、スーパーマーケット卸、イベント出店

WEBhttps://www.akiratsch.com/

Instagramhttps://www.instagram.com/pizza_akiratsch/

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