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「人ありき」が繁盛の秘訣!石川県の日本酒と料理を楽しめる、北新地の『石川さゆり』

永楽通り沿いに佇む店舗。なんといっても目を引く店名なので、初めて北新地を訪れた人でも見つけやすい。
テーブルとカウンター席を用意。仕事帰りに立ち寄る客が多く、林さんと日本酒の話や料理の話で盛り上がる。
メニュー表以外にもカウンターに並ぶおばんざいを選べる。醤油などの調味料も石川県産のものにこだわっている。
20種類前後の日本酒は全て石川県産。山あり海ありの石川県だけあって、それぞれ個性の異なる日本酒を飲み比べしてはいかが?
「『石川さゆり』を通じて、地元出身の私も気づかなかった石川県の魅力をたくさん知ることができた」と語る代表取締役の小林さん(右)。ハキハキとした話しぶりが印象的な林さゆりさんが来店客を笑顔でもてなしてくれる。

(取材=津曲克彦)


多くの飲食店が軒を連ねる北新地。ここに、2016年のオープン以来多くの客でにぎわう飲食店がある。店の名前は『石川さゆり』。演歌で有名なあの歌手のお店?、だと思われるかもしれないが、実はさにあらず。こちらは、石川県の酒蔵で醸された日本酒や、石川直送の山海の幸を味わえる、人気の日本料理店である。

同店を経営するエーキャスト株式会社は、プロダクション事業やクリエイティブ事業、美容事業など、幅広い営業展開を行っている。飲食事業では、同店と同じ北新地にある立ち飲みワインのお店『ハモンベイベー』などを展開。本年には、釜を使った料理にこだわった『石川五右衛門』をオープンさせる。『石川さゆり』同様一度目にしたら忘れない、インパクトのあるネーミングが特徴だ。

「石川県の日本酒や食材を提供するお店を始めることになり、これまで『ハモンベイベー』でがんばってきた林さゆりさんにお店を任せることになりました。だったら、『石川さゆり』でいいんじゃないの?という冗談半分の話で決まったんです。」と笑顔で語るのは、同社代表取締役の小林晃さん。石川県金沢市出身の小林さんは、21歳の時に自分がファンだった近鉄バファローズの実況アナウンサーを目指して大阪に移住。芸能事務所に所属するかたわら、北新地のラウンジやショットバーでアルバイトをして生計を立てていた。昼夜問わず外で働いていた母の背中を見ていたこともあり、人と上手に付き合うことの大切さを自覚していた小林さん。バーカウンター越しに客と仲良くなり、その客が新しい客を連れて来店する。こうしてご縁が次々とつながっていくこの仕事を、小林さんは『天職』だと感じたという。その後、小林さんはプロダクション事務所を企業し、2000年には北新地にバーをオープン。飲食の世界にも進出した。現在、同店を含め北新地に飲食店を9店舗展開している。

同社の店舗展開は、「店ありき」ではなく「人ありき」。特に頑張る女性の支援に力を入れている点だ。「実は弊社は、新規開店の8~9割が『先に人ありき』で店ができているんです。今頑張っているスタッフのなかから『こういうお店をやってみたい』という提案があって、じっくり話を聞いた後『よし、やろうよ!』と開店に結び付けています。また、弊社はスタッフのうち9割が女性なのですが、女性の場合、いずれ結婚や出産を理由に退職するという可能性もあります。『投資としては二の足を踏むのでは?』と思われるかもしれませんが、私自身がずっと外で働いていた母の元で育ったということもあり、女性が笑顔で働ける環境を作りたいという強い思いがあります。だからこそ、私は女性スタッフの夢を叶える投資や支援を続けています。」

もちろん「店ありき」で新規開店を行うこともあるが、「そちらの方がこけることが多い(笑)」と語る小林さん。では、女性ならではの魅力は?

「弊社の女性スタッフは、私が『やりたいことやっていいよ!』と伝えると、粋に感じて本当に一生懸命がんばってくれるんです。私は放任主義なので、メニューなど細かな点には口をはさみません。でも、実際『石川さゆり』もそうですし、他の店も繁盛店になっている。それは、彼女たちが一生懸命に頑張っている結果だと思っています」

同店の場合、石川県の酒蔵で醸された日本酒と、石川県の食材にこだわるのがコンセプト。オープン当初は他県の銘柄も入れてほしいという声もあったが、店を任された林さんは石川県の酒に徹底的にこだわった。「あの店に行けば石川の酒と料理を楽しめる」と、口コミで徐々に広まり、今では「石川の酒を飲みに来た」とわざわざ遠方から訪れる新規客や、「石川でも地元でしか手に入らないお酒、なんとか仕入れられない?」といううれしい期待の声をもらうようになったという。繁盛店になった同店に関して、小林さんは「ネーミングとコンセプトにブレがなかったこと。そして、何よりも林さんをはじめとするスタッフの頑張りがあってこそ」と、スタッフに対する賛辞を惜しまない。

石川県の日本酒の魅力は、濃醇でふくよかな味わいのものからスッキリとした味わいのものまで、そのバリエーション豊富なところ。同店では「薫酒」「爽酒」「醇酒」「熟酒」と大きく4つのカテゴリーに分けているので、日本酒ビギナーでも選びやすい。どの日本酒もグラス(90ml)580円、1合(180ml)1080円で味わえる。また、自身「食べるのも飲むのも好き!」と語る林さんが厳選したメニューも、同店ならではの魅力だ。特にご当地以外ではまずお目にかかれない「ふぐの卵巣こんか漬け(ぬか漬け)」480円や、メバルやサバ、ノドグロといった魚の一夜干し1800円~を楽しめるのも、左党にとってはうれしい点。そして、〆には「いくら入りの雲丹醤飯」1400円を是非とも味わってほしい。磯の香り豊かな雲丹醤油とイクラのハーモニーが口の中で広がり、思わず笑みがこぼれる一品だ。

今後も「人ありき」の店舗展開を考える小林さん。同業他社のように「2020年までに●店舗!」という方針とは一線を画す、ユニークな経営方針だ。今後も『石川さゆり』のように、個性的でついつい足を運びたくなる店がオープンすることを、食べるのも飲むのも好きな筆者としても見守っていきたい。

 

店舗データ

店名 石川さゆり(いしかわさゆり)
住所 大阪府大阪市北区曽根崎新地1-9-12 フォーシーズンズフロント1F
アクセス JR東西線北新地駅より徒歩5分
電話 06-6453-1558
営業時間 18:00~24:00
定休日 日・祝
坪数客数 10坪、16席
客単価 5000円
運営会社 エーキャスト株式会社
関連リンク エーキャスト株式会社公式HP

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