2020年に創業し、「餃子のかっちゃん」を筆頭に多彩な業態全国で60店舗超を展開するdouble(大阪市北区)。急成長の飲食企業を率いるのは現在30歳の松井勝也氏だ。その急成長を支えるのが20代のスタッフ達による強いチーム。「『今の若者はやる気がない』なんて嘘!」と断言する松井氏、同氏流の20代スタッフのチームビルディングをはじめ、松井氏の経歴、今後の展望に迫る。
創業時から20人のメンバーを抱え、スタッフの成長の場を作るために独立!
―まずは現在のdoubleについて教えてください。
松井氏:現在は関西、九州を中心に全国で60店舗超の飲食店を展開しています。様々な業態を展開していますが、一番多いのが「餃子のかっちゃん」。それ以外にも韓国業態から高級和食業態、野菜巻き串、ネオ大衆居酒屋まで幅広く手掛けています。
―ここまでの松井さんの経緯を教えてください。
松井氏:高校生の頃から飲食店でアルバイトをしていましたが、飲食に本腰を入れたのは、秀インターワン(現在は閉業)に入ってから。その後、投資家との出会いがあり副社長として飲食企業の立ち上げを行ったのち、2020年、弟とともにdoubleを創業しました。コロナ禍ど真ん中のスタートでしたが、これが追い風になった。多くの店が撤退する中、普段は手が届かないようないい物件を借りることができた。お金がなかったので、居抜きを中心に初期投資を抑えながら出店を進めていきました。
―独立しようと思った動機は?
松井氏:単純に自分達のやりたいように会社運営をしてみたかったから。何より働くスタッフ達の活躍の場を作りたいという思いが強かったですね。創業時から前職の仲間や知人を中心に20人ほど一緒に働きたいメンバーが揃っていたので、彼らの能力を発揮できる場所を作るために起業し、現在まで店舗を増やしていきました。今後も、スタッフが成長できる環境をつくるために出店を進めていきます。
―創業時から20人が集まっていた松井さんの人望とは…?人を集める秘策があるのでしょうか?
松井氏:なにか秘策があるわけではなく、世の中にはやる気や活力が有り余っている若い人がいて、それを発揮できる環境を整えているだけです。うちは今も99%のスタッフが紹介で入ってきます。僕が集めているというより、誰かが誰かを呼んでどんどん増えていく感じ。社員は全員20代で、最年長が26歳。今の時代、ワークライフバランスを意識して給料よりも休日の多さを重視する会社もありますが、20代の若いうちは時間だけあっても持て余してしまうと思っています。
「やる気を出しても恥ずかしくない環境」を用意する
―時代に逆行していますね。
松井氏:「今の若者はやる気がない」と言われますが、僕はそんなの嘘だと思います。やる気は誰にでもあると信じていて、やる気がないように見えるのは、やる気を出すことが恥ずかしいだけなんだと思っています。例えば、皆が大声を出している場所なら自分も大声を出すことを恥ずかしいと思わないけど、静かな場所でいきなり大声を出すのは勇気がいりますよね。それと同じで、「やる気がない」と思われている若者は、本当は自分の中にあるやる気や熱量を表に出したいけど、周りの気にしているだけなんです。うちの会社は、そうしたやる気を出すのが恥ずかしくない、むしろどんどんやる気を出したくなるような環境づくりをしています。
―具体的にどのようなことをしていますか?
松井氏:言ったことは実現させる。例えば「1年後に店長になりたい」という社員がいたら、きちんと1年間努力して結果を出したら店長にする。当たり前ですが、言ったことが実現される環境なら皆が進んで「こうなりたい」という目標を口にするし、実際に達成していく。何年後に何店舗出店する、という目標も実現する。勢いのあるところに熱量ある人は集まってきます。ここが当社の強さの一つなのかなと思います。あとは楽しさ。社内の飲み会も多いです。
―有言実行、ここに松井さんの人望の厚さが表れていますね。
「餃子のかっちゃん」を200店舗規模に。飲食に必要なの人としての魅力
―今後の展望は?
松井氏:7年後を目途に主力業態の「餃子のかっちゃん」を200店舗規模にしていきたい。店舗数を追うのはリスクも高いけど、やっぱりおもしろい。先ほども話したようにスタッフの成長を促すためには出店が必要です。飲食業はアルバイトも多いので、若くしてリーダーになれる仕事だと思います。だからこそ人としての魅力がないといけない。この成長を促していける会社でありたいし、それができないなら会社をやる意味はないと思っています。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。若手経営者らしい松井さん流チームビルディングは、多くの飲食店経営者に参考になるのではないでしょうか。これからもdoubleの発展を期待しています。