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インタビュー

「炭火焼鳥ちんどん」を皮切りに成長を続けるFC店舗開発の雄・RETOWN松本氏が語る、経営者も産地も潤う店作り。

“街を元気に!”を事業コンセプトに、飲食店直営、FC本部、店舗コンサルティング事業をはじめ、不動産仲介や人材派遣を手がける株式会社RETOWN。設立から約6年が経った現在、飲食店は「炭火焼鳥ちんどん」の直営店8店舗、FC加盟店17店舗、「紀州勝浦生まぐろ ほんまや」を直営3店舗、「黒毛和牛焼肉 犇屋(ひしめきや)」を直営2店舗ほか多数展開し、関西を中心に成長を続ける注目企業だ。そのトップを務める代表取締役・松本篤氏に、業態開発のノウハウやポイントをインタビュー。働く人、お客、産地が幸せになる松本流の店作りとは。



――なるほど。「ちんどん」のスタートから6年経ったいま、内容に変化はありますか?

いまの「ちんどん」は、さらに専門性を高めていこうと考えています。客単価2000円という値段は最低限の売上規模、収益性を維持するためにはギリギリの設定ですし、ボリュームもすでにある。じゃあ質を上げようということで、背肝や朝引きの造りをメニューに加えたり、炭火焼きの焼き方など技術的なブラッシュアップも含め、店舗全体の向上を目指しています。
 

hishimekiya_gaikan.jpg――「ちんどん」を経て、「ほんまや」のマグロ、「犇屋」の牛肉、2011年1月に難波にオープン予定の野菜カフェなど、業態や扱う食材が徐々に変化していますね。

海鮮居酒屋も焼肉も、焼鳥に比べるとオペレーションは複雑ですが、世の中からなくならない業態であることがまず一つ。野菜はそれらを彩るために欠かせない食材でもありますしね。まだ会社の基盤を固めている段階なので、ベーシックなものから始めたいという理由もあります。あとは、“その食材だけで十分戦える武器となりうるもの”が基準。そのためには、よい食材を選ぶために仕入れから見直す必要があります。特に後発の僕が魚介や焼肉のマーケットで生き残るには、産地と連携して流通の無駄を省いていくことを考えなけなければ厳しいと思います。
 

honnmaya_gaikan.jpg――産地との連携はどのようにしているのでしょうか。

たとえば、海鮮居酒屋業態の立ち上げを考えた時、まずは魚介類の流通に関わるいろんな立場の人に会うことにしました。漁師、漁業組合、中央市場、魚屋さんなどそれぞれの立場からのお話を聞いていると、流通に構造的な問題を抱えていることがわかってきたんです。みなさん「このままじゃあかん」と危機感があるけれど、これからどうするべきか迷っている。じゃあ、一見の客の僕でも問題を改善できる策を出すことができれば、提携してもらえる可能性があるはずだとチャンスを見出せました。

そんなとき、和歌山の勝浦で生マグロの仲買会社の社長と出会いました。

その方は、生マグロを従来のように築地に卸すのではなく、直接スーパーや百貨店に卸していて、さらに飲食店経営を通じた直販事業にも大変関心が高く、水産流通の構造的な問題に対する考え方も私と非常に近かった。そこで、共同出資で会社を立ち上げ、大阪に「ほんまや」という海鮮居酒屋を出店することになりました。

仕組みとしては産地側が製造原価で商品を納入し、弊社がお店の企画、運営を行うという形です。たとえば、マグロの頭をスーパーに卸しても一般消費者は扱いづらいから売れないけれど、飲食店で料理として出せばニーズはある。これまでロスになりがちだった部分が十分強い商品となりますよね。こういった、産地のみなさんにとってロスの出にくい仕組みを作っていきたいと考えているところです。ちなみに、海鮮居酒屋の構想を練りはじめてから「ほんまや」を開店できるまでに約1年半かかっています。

産地や生産者のみなさんと話しているうちにわかってきたのですが、野菜は特にロスが出やすいんですね。農家の方が作物を農協に買ってもらえるのは形が整っているものだけとか、作りすぎて残ってしまったぶんは結局自分たちで食べるしかないとか。その点、飲食店で扱うなら安全性が確かであれば形が不揃いでもいいし、なおかつメニューの売価はほぼ一定なので、農家側の収入も安定しやすい。市場に卸せば野菜の相場に翻弄されますからね。がんばっておいしい野菜が作れたら、ちゃんと儲かる。飲食店側としてはそんな仕組みを構築していきたいんです。

 

――近年、食材のブランド化が流行っていますが、それについてはどう思いますか?

ブランド化が進み、モノの値段が質と向上を伴わずに高くなることを懸念しています。高くなっても質の向上が伴わず売れなければ、元の木阿弥。一般消費者が手の出せる価格で、産地も儲からなければ意味がないわけです。

あと流行というのは、特にいまの時代コロコロと変わります。ハイボールをやってるから自分もハイボール、というだけではなく、誰もが流されやすい時代だからこそ何か一つの軸を追求したほうがいいんじゃないかと思いますね。それを追求することが、どんな分野でも生き残っていくための術ではないでしょうか。僕の場合は、先ほどお話したように産地との連携を意識した店作りを進めることを軸に、さらに一歩踏み込んだ「産地活性化」をテーマにした業態開発をしていきたい。そして、いずれは自ら生産者として食材を作る事業も手がけたいと考えています。

いま、消費者のなかで外食する必然性がどんどん薄まってきています。飲食店は食欲を満たす以外のプラスアルファの魅力を提供できているか、真剣に考えなくてはいけない時代という気がします。僕もそれが何なのか見極めていきたいです。

(横田ちはる)

 

松本 篤氏 1975年、兵庫県生まれ。大学卒業後、FC専門のコンサルティングを手がける「ベンチャーリンク」に就職。名古屋を中心に飲食店FCの加盟店の開業サポートを経験し、26歳で関西に戻り「ぢどり亭」などを展開していた「スタイル」の執行役員に就任。29歳で「炭火焼鳥ちんどん」を開業。2011年1月に、なんばOCATに野菜カフェをオープン予定。

株式会社RETOWN  大阪市西区北堀江1-2-17・8F tel.06-6534-8091  

 

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