大和企業(大阪市北区、代表取締役・國次孝平氏)の新業態が10月18日にオープンした。創業60年という歴史をもつ同社は梅田を中心に店舗展開。イタリアン系ダイニングやはまぐりをメインにした和食、バールなどを出店しているが、今回は「クリエイティブ・カフェ」をコンセプトにしたカフェを開発した。場所は、ホワイティ梅田の「地下スクランブル交差点」。地下鉄御堂筋線や阪急線に乗り換える人々が行きかう地点で、古くからの喫茶店、串カツ店などが軒を連ねる。「ビジネス街であり日常のエリア。尖りすぎてはいけない場所だと思います。男性でも入りやすくて居心地がいい、速い安いだけではない、フルサービスとセルフの間のクオリティを目指しました」と話すのは、代表の國次氏。3代目社長として、同社業態の刷新を手掛けている。セルフの手軽さを残しつつも、フードはすべて店内から見える厨房で行い、手動のエスプレッソマシンやスチームコンベクションを導入し、味へのこだわりも十分。さらに店内は禁煙でWi-Fi完備、コンセント使用OKという、今時のビジネスパーソン対応となっている。フードや店内は「ベシャメル」の白からインスピレーション。フードのメインコンテンツはドリア[680円(税込714円)~、サラダ&ドリンクセット930円(税込976円)~]で、「本日入荷の新鮮野菜ドリア」「デミハンバーグドリア」「明太子月見とろろドリア」などがスタンバイ。一人客が本やスマートフォンなどを片手に持ちながらでも食べられるようワンスプーンのメューにこだわったという。コーヒーは300円(税込315円)。ほかにもパスタや女性に人気のアサイーボール550円(税込577円)なども。「パンケーキ80’s」は、2枚で350円(税込367円)~。昔懐かしいホットケーキタイプで、店内で1枚ずつ焼いていく。流行りのパンケーキショップに比べて破格の設定だ。ほか、スタイリッシュなデザインのカトラリーや真っ白なマグカップにも注目。ロゴ入りのトートバッグとともにオリジナル雑貨として店内販売し、ブランド力アップにつなげている。國次社長は、業態開発についてこう話す。「当社は現在、以前の店舗をリニューアルしている段階。今の時代にあった表現方法を模索しています。特定の店をヒントにすることはないですね。模倣は模倣ですから」。つねにアイデアを探し、社内で共有。思い付きにも似たざっくりとしたイメージから業態が生まれていくことも多いとか。「周辺は梅田中心部でありながらここ10年間は変化がありません。このゾーンを行き交う方々のためにも、エリア自体をアップデートしていきたい。それが梅田の街とともに長年歩んできた当社の使命だとも思います」。次なる展開は、「来春に和食ダイニングを計画中」とのこと。老舗企業の新たな一手に注目したい。
(取材=横田ちはる)