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インタビュー

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トリドール代表取締役社長、粟田貴也氏インタビュー

「故郷の名物がラーメンじゃなくてよかった!」
リーズナブルな外食「讃岐うどん」だったからこそできた海外チャレンジ。

2011年4月1日に1号店としてワイキキのクヒオ通りにオープンしたワイキキ店をきっかけに10ヶ国56店を海外で展開する丸亀製麺。「讃岐うどん」という日本オリジナルのメニューでアジアを中心とした海外で勝負する運営会社 トリドール(本社・神戸)代表取締役社長 粟田貴也氏に海外展開の理由と今後について訊いた。


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—海外出店のきっかけはハワイのようですが、その経緯は?

2011年のワイキキ店が最初なんですが、その直前にね、外食産業がハワイもにぎやかということで、仕事(視察)で行って、たまたま街を朝ひとりで散歩してましたら、空き物件が目の前にあったんです。そこでピンときたんですよ。これまでもカンだけでやってきましたから(笑)、そこで決めました。生まれて初めてのハワイだったですけど、思い切ったことをしてしまいました(笑)。でもほんと、なんかこうインスピレーションが働くというかね、行けるんじゃないかという読みがあって。そこからのスタートですね。でも丸亀製麺の時だってね、計算してやったわけじゃないんです。四国の製麺所を見て、これは面白いという直感で始めた事業ですから。

 

—当時は焼鳥店がメインだったんですよね。

20軒近くやってたかなぁ…。これからは焼鳥で行くぞって。ちょうどね、2000年ごろで、ITバブルを横目で見ていろいろ考えはじめた頃でもあったんですよ。ずっと銀行さんに頭下げまくって、お金借りるのももう疲れて、「上場したい!」と思ってね。焼鳥屋の兄ちゃんがIPOなんて知る由もなく。すべてが初めてでいろんな門を叩いて、ドアを1枚1枚開けている時でした。

 

—そんな時に、讃岐うどん店を?

まだ(讃岐うどんが)それほどの脚光を浴びてなかった頃。香川に親戚がいて、行き来していたときに、繁盛していた製麺所見てひらめきました。やる以上は徹底していいものを作るというか、繁盛していた製麺所を比較的近い形で再現しようと大工さんと二人三脚で、ほとんどお金使わず1号店を作ったんです。

 

—同業他社との大きな違いは?

後付けで言えば、お店で麺を切り、茹でていたりするライブ感と、冷凍ではなく生麺であることが他店との違いだとか言ってもらえるのですが、結局、お客様に決めていただくことなんで。とにかく感動が大事だと考えています。お客様に『おっ、すごいな!』って言って欲しい。その一言を待ってるんですよ。

 

—この業態でいける!と思ったのは何店舗目くらいでしたか?shinagawa.jpg

そうですね、フードコート(イオンモール)に初めて出てめちゃくちゃ当たった時かなぁ。あとは、東京とか、北海道に初めて出した時もすごく当たったんで、これはいけるなーと。東京23区内の1号店は品川でのビルイン店舗で、強烈に売れましたね。金額的にはたいしたことないんだけど、行列ですよね。まぁ、単にオペレーション悪かっただけなんですけど(笑)。そこから、"まぁまぁいけるかなぁ"という、実感が何となく出ました。

 

—撤退店がなく、全戦全勝という印象ですが?

さすがに(国内)800(店舗)ぐらいになりましたから、少しは(撤退店も)ありますが、ほとんどしていませんね。まぁ運が良かったような気がします。/写真は品川店

 

—運だけじゃないですよね、後からたくさん追随(店)が出て来ましたし。

後から分析したことで言えば、全国的な規模で、うどんの市場がまだまだ伸びしろがあったんだとか、競合が少なかったんだとか、いろんな理由があったんですけどね、未成熟な市場であったというのがやっぱり大きかった。そんなことも考えず、最初踏み込んで、自分の感動だけで無我夢中、進んできたんです。だからそういった意味では参入した市場が良かった。ラーメンだったらもっと苦労してたんじゃないかなと思うんですよ。ほんと、故郷の名物がラーメンじゃなくてよかった(笑)。

 
 

waikikigaikan.jpg—その流れでハワイにも?こちらも当たりましたね。

もうバカ当たりですよ。(店は)ちっちゃいんですけどね。バカ当たり。(3年たった)いまだに売れてます。考えたらね、ハワイのワイキキって世界でも有数の観光地。日本人も多いし、海外からの観光客も多い。だけど、ほかの外食が結構高くて、そのわりに日本食が少ない…。だから選んでもらえている。これも、後付けで考えて、流行る理由だって語れるんですよ。でも、その時は、「やりたい!」っていう一心でやっていてそんなことぜんぜん考えてないんですよ。先に戦略ありきだったら…ハワイなんか行かないよね(笑)。/写真はワイキキ店

 

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—ハワイ店は日本とほぼ同じ感じなんですか。

ほぼ一緒ですよ。値段は材料がだいぶ高いんで、ちょっと高いかな。でもなるべく近づけるように努力しています。もともと、ハワイに1軒、店作って、たまに社員が保養で研修でも行けたらええんちゃうかとか。そんなね、大ざっぱな思いではじめたんですよ。日本人ももちろん多いですけど、海外からの観光客が珍しがって来てくれています。路地裏、二等地みたいなところで場所があまり良くなかったんで、こんなに当たるとも思わなかった。ビギナーズラックで生きてます(笑)。/写真はワイキキ店

 

—そこから、12年1月にタイ、4月に中国。13年1月に香港、2月にロシア、3月にインドネシア、4月に台湾。そして7月にシドニーと進出していますね。

ハワイで当たった時に視野が広がったというか。自分の固定概念が少し覆され、世界って面白いなっていうのをなんとなく思ったんでしょうね。しかも、日本の外食マーケットは厳しい状況ですから。(海外には)とにかく縁があるところから順次入っていこう、というぐらいの感覚です。どっかないかなぁということで…。最初のとっかかりは全部私で、現地も行って、あとは社員になすりつけて(笑)。だから、(出店が)決まったあとの従業員が大変です。低単価なファーストフード的な店ですから、食材は基本的に現地調達です。現地で調達できない時は日本から持って行くし、近隣諸国から取り寄せるなど、現地に入った人間がその都度調整をする。

 

—主要スタッフも現地で採用されるんですか?seimen.jpg

もちろん。日本のスタッフは最小限にし、現地で採用して、教育します。必要であれば、日本で研修します。基本的には、現地に派遣した人間の裁量に任されています。うどんに乗せるトッピングなども、現地のスタッフと相談しながら、変えたほうがいいところは変えています。麺質は、水や粉が違い、いろんな諸条件が違うので、同じものというのはなかなか難しいんですけど日本のものを踏襲しようと努力しています。それはダシも同じ。ここは絶対に外せない部分です。でも材料がまず、同じにならないんでね。そこは苦しいとこですよね。ただ、我々は店頭での生産にこだわり、努力しています。

 

—FLコストは、変わりますか?

それはもう、よくできたもんで、国が違っても、利益はそんなに変わらないですよ。逆に儲からないですね。人件費が安いから利益があがるかというと、人件費が安いということは(その国の人たちの)収入も安いということです。うまくできています(笑)。

 

—出店決定からオープンまではどのくらいかかるんですか。

行政の認可とか、いろいろな事情があり、まちまちです。長いとロシアのように1年くらいかかります。日本では考えられないことがたくさんありますね。ホーチミンの市内でベトナム2号店を作っていますけど、夏までに開店できればいいかなというスタンスです。結構、現場って詰めても詰まらないんですよね、予定が。だからいつまでに作ってくれと言ってもなかなか…。ハワイでさえ、言うこと聞かんのですよね。「いつ工事終わんの?」っていう状態。几帳面な日本人からしたら、胃に穴が空きそうなくらいの負荷がかかりますよね。だからある程度片目つぶってやらないといけないってことを学びましたね。日本はすばらしいですよ。

 

—それでも、海外なんですね。

直感ばかりで来たと言っていますけど(笑)、いまはそういう時代じゃないですからね。(日本の)食のマーケット自体は限りなく広がっていると思うんですよ。ただ、外食というカテゴリーは減って来ると思うんです。(中食の主体である)コンビニが来期に(2014年度に大手4社が)4500店舗出店すると言われてますからね。そういう(国内)外食産業の5年、10年先が見えないということを見据えての戦略なんです。

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—現時点で、アジアの中でうまくいっている国は?

売り上げという部分においては、台湾とか、ジャカルタ(インドネシア)がいいですね。ほんとにうまくやれるかどうかっていうのは今からですよ。最初はね、物珍しいから、マスコミも地元のメディアも取り上げてくれるし、調子よくいくんでしょうけど。(海外で数十店舗も)展開していくというのとは、まったく別もんかなぁと思うんです。/写真はインドネシア1号店

 

 

—今後も、アジアを中心に進出していくんですか?

世界を知らずしてアジアだけというのもね。世界をやった中で「アジアがいいという」結果になればそうすると思うんですけど、ひょっとしたらアメリカに大金脈が転がっているかもしれませんしね。それを触りもせんとアジアだと言うのはおかしい。欧米もやらずして"欧米は~"とか言うのもちょっとまずいなと思っています。今、シドニーだってどっかーんと売れていますからね。今はリサーチの段階というか、そのうちここで重点的にやろうという選択をすることになると思いますけど、あと1~2年はリサーチの状態が続くと思います。そのうちの重点地区が生まれて来るだろうなぁと。海外でやっていくということは難しい。世界に出ていくのはほんとビビるんですよ。日本とまったく環境違うじゃないですか。だから真剣に考えるほどにやることじゃないなぁと思うんですよ。でも、(この先、日本の外食が縮小していくといわれる)今やらなかったら、永遠に(海外に)出ることができないなと思う。ということは会社として縮小していく。今勇気をふるって海外でやることがひょっとしたら次の未来に繋がっていくかもしれないと思っています。

 

(聞き手/佐藤こうぞう「フードスタジアム」編集長、今富信至「フードスタジアム関西」編集長)

丸亀製麺 ワイキキ店●2011年4月1日に海外1号店としてワイキキのクヒオ通りにオープン。日本の店舗と同様にセルフ形式でのサービスで、定番メニューの釜揚げうどん(並)、ざるうどん(並)は3.75ドルとハワイでもリーズナブルな価格設定。全68席。

丸亀製麺海外店舗
http://www.toridoll.com/shop/marugame/overseas.html
 

 

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