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飲食業界初!大阪屈指の会員制焼鳥店が「チケットぴあ」と取り組むドタキャン対策とは?

熊が焼鳥をくわえる人形が目印。ICカードをかざして入店するシステムは、会員制ならでは特別感がある
店内カウンター、テーブル合わせて15席。常に満席で、予約は3ヶ月待ちという
鶏の希少な部位を余すことなく味わえる「鳥刺し25種盛」。熊脇氏お気に入りの薩摩醬油は、濃厚な甘さで鳥刺しと相性抜群
濃厚でまろやかな味わいを存分に堪能できる「熊のたまごかけご飯」。ほかにも、贅沢なトリュフが入った期間限定の「日本一高いたまごかけご飯」(5000円)など、締めのメニューもパンチが効いている
普段は明るくにこやかな熊脇氏だが、仕事に入ると無言を貫く。焼き台に立つ表情は真剣そのもの。一串一串の焼け具合の変化を察知し、ベストのタイミングで焼鳥を提供する
2017年7月1日から始めた「チケットぴあ」でのぴあシート販売。インスタ、FBなどSNS上で、ポスター画像を使った宣伝を始めている

人気店にとって、避けては通れない「ドタキャン」。この課題に「会員制」というアイデアで取り組んだのが、大阪・天満のレンガ通りにある「熊の焼鳥」だ。「予約が取れない店」としてメディアにも度々登場する同店は、2015年10月に会員制への移行を開始。わずか1年で3000人以上もの会員を集めることに成功し、ドタキャン数の削減にもつながった。同店のオーナー・熊脇稔康氏(株式会社熊の〇〇代表取締役)に取材し、会員制焼鳥店へ挑戦した経緯と、7月1日から「チケットぴあ」とタッグを組んで始めた新サービスについて話を伺った。

熊脇氏が飲食の門を叩いたのは、高校2年生の時。当時アルバイトで働いていた焼鳥店で技術や心構えを教わる「師匠」に出会ったことが、飲食の道を志すきっかけとなった。フランチャイズの焼鳥店で研鑽を積んだ後、親戚が焼鳥店を立ち上げたのをきっかけに手伝うことに。経営は順調だったものの方向性の違いが生じ、店を辞めることになった。一度は現場を離れオーナーとして人に投資する立場を続けていが、「久しぶりに現場に戻ろう」と決意し、2014年に8月に開いたのが同店。コース料理をメインに提供した戦略が当たり、3ヶ月後には予約の取れない人気店へと急成長する。しかし繁盛店ならではの宿命が、熊脇氏を悩ませた。連絡なしのキャンセルや当日になってからのキャンセル。「ドタキャン」は多い月で100人以上にもなり、見過ごせない課題となった。ドタキャンの数をなんとかして減らしたい。そこで思いついたのが、当時関西の焼鳥店にはなかった「会員制」というアイデアだった。思いついたら即実行が、熊脇氏の信条。2015年10月に会員制移行を宣言した。翌年3月末までを移行期間とし、当初は入会金として、1000円を支払うシステムを採用した。
「正直、金額はいくらでもよかったんです。ただ、『入会金を払ってでも行きたい』と思ってもらえる店にしたいという気持ちがありました。でも蓋を開けてみると、来店客の80%が入会してくれたのは、全く想像できませんでした」キャパシティの問題から会員数をセーブする必要があり、入会費を2000円に値上げした。それでも入会者数は伸びる一方。ならばと、3000円に設定しても入会者数は増え続けた。移行期間が終了する3月末には、約2500人もの顧客を囲い込むことに成功した。「一番うれしかったのは、会員制に疑問的なお客様が、うちの焼鳥を5本食べた後に入会申込をしてくれたことです。思わず心の中で『ヨッシャー』と叫びました(笑)」現在は入会費15000円と、思わず目を見張る金額。それでも月間50人程度が入会するというから驚きだ。

同店の人気の秘密は、2つある。1つは、熊脇氏が計算しつくして焼き上げた焼鳥の旨さだ。炭の最高峰と言われる紀州備長炭を使用。遠赤で時間をかけてじっくりと焼き上げるのはもちろん、鶏肉の脂を炭に落とし、生じた煙を鶏肉にまとわせる「燻し焼き」をして提供する。炭の香り豊かな焼鳥の味わいはとてもジューシーで、思わず目を閉じてうっとりしてしまうという。コース料理は、基本コースの「おまかせ10串」(2500円)のほか、限定の「おまかせ13串」(3000円)、「おまかせ16串」(3500円)、そして現在1ヶ月待ちの「熊の焼鳥スペシャルコース」(1人5500円)を用意している。もう一つの人気の秘密は、SNS映えする人気メニューがあること。大阪では珍しい「鳥刺し」は、「5種盛」(1200円)などのほか、要予約の「12種盛」(2500円)、一ヶ月待ちという「25種盛」(6000円)を提供。特に鶏の希少部位を心ゆくまで味わえる「25種盛」は、木箱に美しく盛り付けられ用意。目の前に出されると思わず心が躍ってしまう。また、多くの来店客がインスタにアップするのが、締めで人気の「熊のたまごかけご飯」(ノーマル480円)。特製醤油がかかったご飯の上に輝くのは、いわゆる「卵になる前の卵」。濃厚でクセになる味わいもさることながら、立体的な姿がインスタ映えすると、特に女性客から評判だ。

会員制となった現在、非会員は会員と一緒に来店、もしくは16時~の回と21時30分以降の回に来店することができる。(会員と一緒に来店する場合、非会員はチャージ1人1000円。非会員同士の場合、チャージ1人2000円)しかし非会員のドタキャンも増えている。多い月は、全体の15%近くがドタキャンという状況は、新たな課題となった。そこで熊脇氏は、チケットを事前に購入してもらった後、店舗に足を運んでもらうシステムを考える。ここでも思いついたら即行動の信条で、すぐにプレイガイド大手の「チケットぴあ」に相談した。「チケットぴあ」といえば、主にエンタメ系チケットを取り扱う企業。今までにない斬新なアイデアに、当初は担当者も驚きを隠せない様子だった。しかし、熊脇氏は約2ヶ月もの時間をかけて根気強く説得。「熊の焼鳥は、焼鳥LIVEのエンターテイメント」という思いが伝わり、東京本社での審議を経てタイアップが実現した。飲食業界初の試みで、どの飲食店も頭を抱えてきた課題への突破口として期待される。「チケットぴあ」のシステムを取り入れたのは、あくまでもドタキャン対策。なので、チケット3,000円分(決済手数料は除く)は、来店すればキャッシュバックされる。チケットが取れる時間は、16時~と、21時30分~。空き情報は近くのコンビニのほかインターネットで確認できるうえ、電話がつながらない時間帯でも予約がとれるなど、非会員にとってもメリットは多い。チケットを持って訪れるLIVEのようなワクワク感も魅力だ。「ドタキャンは、うちに限らず飲食店全体にとって避けては通れない問題です。これまでは泣き寝入りするかなかった。だからこそ、今回始めた「チケットぴあ」との取り組みが、一つのきっかけになってくれればいいかなぁと思っています」熊脇氏が考えた新たな取り組みが、どの飲食店にも共通する「宿命」を変えるかもしれない。これからの動向にも注目だ。

(取材=津曲 克彦)

店舗データ

店名 熊の焼鳥(くまのやきとり)
住所 大阪府大阪市北区天神橋6-3-26 レンガ通り内
アクセス 地下鉄堺筋線・谷町線天神橋筋六丁目駅から徒歩1分
電話 06-6353-6330
営業時間 16:00~24:00(ネタがなくなり次第終了)
定休日 不定休
坪数客数 9坪 15席
客単価 8000円
運営会社 株式会社熊の〇〇
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