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「お客様に価値あるものを提供」することにこだわり続ける 株式会社N・Iの次なる切り札は「海鮮業態」。西中島を基点に「北海道ブランド」の“のろし”を上げた!

「名物10品盛り」500円(税抜)原価率は売価を超える。
「かにぶっかけ出汁巻玉子」980円(税抜)
スタッフの掛け声の元、蟹をここまでかというくらい盛る。
株式会社N・I代表取締役社長の河村氏。27歳で初めて自店を出して以来、その上昇志向はとどまることを知らない。独自の経営センス、人脈を頼みに、タイミング良く吸収・合併も行いながら、現在の8業態15店舗(フランチャイズ含む)を展開する組織へと成長させた。
「にほんいち」ブランドでは腕の確かな料理人たちと、サービス精神溢れるホール担当が店を切り盛りする。

2015年5月、西中島南方駅のほど近く、個店がひしめくエリアの一角にオープンした「北海道海鮮にほんいち」。2009年の創業以来、大阪、とりわけ北部を中心に居酒屋、バルなど8業態15店舗を展開する株式会社N・I(代表取締役社長:河村則夫氏)による運営だ。ただし、同社が得意とする「均一居酒屋」業態ではなく、高級寿司業態と同レベルの鮮魚を低価格で楽しめるのがウリとなっている。

きっかけは、河村氏がグルメ視察で訪れた札幌での、ある人物との「偶然的な出会い」。その人こそ、連月全店舗売上前年比100%超えで評判の「居酒屋にほんいち」を運営する株式会社アイ・コンセプトの代表取締役社長、市川暁久氏だった。知人との飲み会の席に偶然居合わせたのだが、市川氏の人間性やビジョンに感銘を受け、フランチャイジーとして大阪出店を打診したと言う。

「かつて寿司屋や割烹で修行経験を積んだ私にとって、魚業態は、いつかは挑戦してみたかったジャンル。海の幸、山の幸に恵まれた北海道グルメはブランド力があり、物産展等での集客率からも、大阪でも根強い人気があることは明らかでした。加えて、市川氏が描く『北海道のおいしいものをより安く、全国へ』というビジョンは、私たちの『お客様に価値あるものを提供する』姿勢とも合致するものであり、迷いはなかった」と河村氏。

「海鮮居酒屋にほんいち」の強みはその名の通り、日本一の素材を日本一の低価格で提供すること。アイ・コンセプトでは自ら水産会社を経営し、独自の仕入れルートを有することで、高級寿司業態と同程度の鮮魚を市場価格の半値以下で仕入れることができ、北海道でもトップクラスの質と値ごろ感を誇っている。もう1つの強みが、キラーコンテンツと呼ばれる「原価度外視で品質と安さをアピールする」目玉商品の存在だ。例えば、新鮮な刺し身が10品から11品も入った「漁師町の板盛」(500円というあり得ない価格設定)、お客さまが「ストップ!」と言うまでダシ巻き玉子の上にかにを載せ続ける「蟹ぶっかけだしまき玉子」(980円)がそれに当たる。いずれの商品も原価率100%をはるかに超えており、お客様には痛烈なインパクトと感動を与えることに成功している。河村氏は一部のメニューを“大阪仕様”にカスタマイズしつつも、「にほんいち」本部のこうした戦略は踏襲している。

今回の取材先「海鮮居酒屋にほんいち西中島店」を1号店に、その後、十三と東三国に2店舗増やし、現在は3店舗展開。2016年1月には4店舗めの出店計画があり、場所は福島だと聞く。

「本当においしいもの、良いものを使っている自負がある。『にほんいち』は味覚の宝庫・北海道で認められた業態だという自信があるから、攻めの出店が可能。福島店は私たちのこれまでのドミナント戦略からは外れますが、ちょうどホテル阪神の前。路地裏でありながら人の往来の多い、個店が建ち並ぶエリアで集客が見込める。客層を考えて、客単価も既存店よりはやや高めの4,000円に設定。福島にはまだ海鮮業態が少ないのも狙い目だった。ここをアンテナショップにし、ゆくゆくは梅田への展開も視野に入れる」。

小・中・高では野球部に所属しキャプテンを務め、生徒会長を任されることも多かったという河村氏。「やる気と根性、気合いや体力には自信があった」という氏が「いつかトップに」という強い野心と共に飛び込んだのが飲食業界だった。寿司屋と割烹で3年ずつ修行し、飲食店経営に必要な「ヒト・モノ・カネを管理する」ノウハウを掴むべく勤めた外食産業では、店長からマネージャー職も経験。27歳で自店を構え、4年後の2009年には株式会社N・Iへと組織化も成功。以後、わずか6年という短期間で8業態15店舗というスピードで、拡大路線を突き進む同社。代表である河村氏は近年、持ち前のリーダーシップを発揮してめきめきと頭角を表す飲食店オーナーの1人である。

そんな氏はもちろん、現状に満足などしていない。今後は

「地域に根ざしながら、食のワンストップサービスを図るのが目標。コンビニでもイートインが進む中、われわれ外食はともすれば廃れる可能性もある。時流に負けない企業体質づくりに力を入れていきたい。業態を分けるのも、リスクヘッジの一環であり、従業員を守るために重要なこと。店舗が増えて利益が上がれば、従業員にしっかりと還元できるメリットもある。攻めの業態としてはデリバリー展開も検討中。すでに実現に向けて進行中だが、2020年には自社ビルを所有し、1階をセントラルキッチン、上層階は事務所とする計画がある。近隣の高齢者の雇用も促進して、地域貢献にも積極的に取り組んでいきたい。その先の2025年には完全週休2日制、従業員の給料ベース30%アップをめざしていく」。

地元への思い入れが強い氏にとって、大阪北部を中心とする多店舗展開を行う理由は「地域貢献」ともう1つ、「地元=マーケットを熟知している」点が挙げられる。なじみ深い場所だからこそ土地勘も働き、客足や流れの動向も読みやすい。またドミナント戦略で一定の地域に店舗が集まっていればこそ、店舗間でヒトをやりとりでき、人手不足を補い合えるメリットもある。

かつての自身がそうであったように、「自店を持ちたい」という夢や目標に向かってやる気を出し、必死に資金を貯める努力を怠らない若者を応援し、チャンスも与えている。例えば、常に店の数字はオープンにし、店長には個人事業主のように切り盛りさせ売上も折半する仕組み。資金が溜まれば、そのまま店を譲る。同社のスピーディな多店舗展開にのみ目が行きがちだが、時流を読み、“負けないカード”を選択していく手腕や、従業員の自立や地域貢献を視野に入れたビジョン設計、人材戦略も注目に値する。

(取材=西村由起子)

店舗データ

店名 北海道海鮮にほんいち
住所 大阪市淀川区西中島3-15-7
アクセス 地下鉄御堂筋線 西中島南方駅 徒歩1分
電話 050-5786-3621
営業時間 17:00〜24:00
定休日 無休
坪数客数 60席
客単価 3000〜4000円
運営会社 株式会社N・I

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