5月28日、カフェやカジュアルダイニングひしめく心斎橋の南船場エリアに、100席を超えるカフェダイニングバー「fine diner & salon bar 7-NANA-」がオープンした。心斎橋駅からほど近い真新しいビルの最上階に位置する同店。出店したのはhachi(大阪市中央区、代表・村口奈奈氏)で、初の飲食業参入だ。
同社は元々、セールスプロモーションや記者発表など広告・PRの企画制作会社。一見すると畑違いの会社がなぜ飲食店を出店するに至ったか、同社執行役員/統括ディレクターの池澤伸介氏に聞いた。「こういった店を使ったイベント・プロモーションなどのニーズもある。最新の設備を備えたハコを持てばそれを生かしていけると考えました。また、広告事業のノウハウを活かして店自体をPRすることもできる」。同氏の言う通り、7-NANAは本格的な音響設備と“3D・プロジェクション・マッピング”を備え、あらゆるシーンのイベントに対応できるよう設計時点からレイアウトなどを工夫している。
先述の“3D・プロジェクション・マッピング”とは、ここ最近、ハイブランドのセールスプロモーションやイベントなど、広告業界で特に注目されている先進の映像技術。同店は、その映像技術を屋内常設設備として、日本でいち早く導入した飲食店ということで注目を浴びているのだ。
では“3D・プロジェクション・マッピング”とは、どんな映像技術なのだろうか。壁面の凹凸のラインを正確に反映した3D映像を作成し、映像を実際の壁面にピタリと重ね合わせる。映像が始まると、あたかも実際にそのウッドブロックが動きだし、飛び出したり転がったりして、壁の奥からさらに映像が現れるような錯覚を起こす、これまでにない3D映像が現れるというもの。画面から迫りくるような迫力はインパクト絶大だ。同店でいえば不揃いなウッドブロックを巧みに組み合わせて作ったような凹凸のある西側壁面が、その映像を映すスクリーンだ。「将来的には、ウェディングパーティーなどの映像演出や映像広告媒体として販売していく計画です」と池澤氏。同店では、20時以降、2時間置きに映像を流す。バースデーサプライズ映像としても利用できるとのこと。
また、同店にはもう1つのテーマがあると同氏。「子どものいる代表の村口が、子連れでも美味しい料理を食べられるスタイリッシュな店に行きたいが、そんな店がなかなかないと感じていて、それを叶えられる店作りを目指しました」。子ども連れの来店客には、スタイ、おりがみ、クレヨンセットを無料でプレゼントし、絵本やDVDなどを無料レンタルしている。“ママ会プラン”なども充実させ、昼間にはママと子どもに向けた知育イベントなども今後企画していくとのこと。
フードは、ラグジュアリーでスタイリッシュなリゾートホテルを世界で展開する「アマンリゾーツ」出身のシェフが作るイタリアンベースの創作料理。フードコンセプトとしてあげている“グローバルコンフォートディッシュ”とは、世界中で食べられている様々な美味しいものを、枠にとらわれず手軽に食べられるようにアレンジしたものとのこと。「マグロのポルト酒漬け」(580円)、「田舎風ラタトゥイユ」(380円)、「泉州水茄子と自家製セミドライトマトのサラダ」(700円)、「マルゲリータ」(1100円)など。
ドリンクは、「アサヒスーパードライ」(500円)他、グラス赤・白ワイン(各600円)、スパークリング、カクテルなど各種取り揃えている。また、子ども連れのママのために「Kid’s Hamburg Stake Plate」(800円)、「kid’s Pasta Plate」(800円)の他、ベビーフードも各種500円で提供している。
“昼は草食、夜は肉食”をテーマに、昼と夜で全く違う二つの顔を持つ同店。目新しい映像技術をフックに、「感度の高いアッパー層が普段使いできる大人カジュアルなお店として認知させていきたい」と同氏。心斎橋の夜、オトナが集う新しい社交場として今後に注目だ。
(取材=西村公美子)