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クラフトビールが日替り21種揃うダイニングバー「eni-bru(エニブリュ)」関西屈指の品揃えと探究心で、クラフトビールファン、飲食関係者を唸らせる

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西尾氏が一目ぼれしたという、半地下の物件。クラフトビール業界関係者も訪れる。
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全国のブルワリーから完全冷蔵で届く。1/2パイント(280ml)700円から。ワイン、洋酒、こだわりの日本酒も用意。実はフードも充実しており、大阪の地元野菜を使った和洋の創作料理がそろう。
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大充実のメニューブック。ビールごとに、基本的な醸造法や、色、ブルワリー名のほか、「苦味のない優しい口あたりの小麦ビールに、白桃の優しい味わいをのせた」など詳しい解説がある。
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ガス圧系がズラリと並ぶのはクラフトビールならではの光景。専門の施工業者が少なく、工事は苦労したそう。
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喜色満面堂・代表取締役の西尾氏。モットーは「つねにスクラップ&ビルド」。クラフトビールへの愛情は人一倍だが、人とは違う、客を驚かせる何かが見つかれば、またいち早く動き出すに違いない。

昨年から東京でブームを巻き起こしているクラフトビール。いわゆる地ビールと呼ばれ、小規模なブルワリーで生産者のこだわりや風土が活かされた個性ある味わいが特徴だ。清涼感やキレのある苦味が重要視される一般的なビールと違い、クラフトビールの楽しみ方は実にさまざま。国内だけでも100種以上ある品種ごとに、苦味や甘味、アルコール度数、色、適格な温度、炭酸の強さなどが異なり、多様性はワインのそれに近い。奥の深さもあいまって、いまファン人口がじわじわと増えている。 しかし、関西でクラフトビールを扱っている店舗はまだまだ少なく、専門店も見当たらない。と思いきや、5年前からオープンしている店がある。中百舌鳥の「クラフトビアダイニング エニブリュ」だ。 御堂筋線・南海高野線「中百舌鳥(なかもず)駅」から徒歩3分ほど。マンションが並ぶ一角にある半地下の店内は、レンガ造りでパブを思わせる雰囲気。壁とカウンターには、北海道から鹿児島まで全国のブルワー渾身のクラフトビール21種のタップがずらりと並ぶ。たとえば、大阪からは「箕面AJIビール」、千葉は「ハーヴェストムーン」、静岡「ベアード・ブルーイング」、鳥取「大山Gビール」、鹿児島「城山ブルワリー」ほか、この冬仕込みの白ワインのような味わいのエニブリュオリジナルビールや、燻製ビールの一種で世界的評価の高い「富士桜高原麦酒」のラオホビールなども。面白いのは、21種から好きなものを選んでテイスティングできる飲み比べ(150ml×3杯。1100円)。メニューブックには楽しみ方として、「色の違い、種類は同じだがブルワリーの違いで選ぶ、レアな3種で選ぶ」といったポイントが丁寧に書かれている。 スタッフには正社員を揃え、商品知識と提案力、情熱を叩き込む。メニューブックの説明文は詳細かつ明快に、色や味の解説を記載。ブルワーを交えた試飲会や、ブルワリー見学イベント、ビアフェス参加イベントなども企画するなど、クラフトビール文化の発信地としても機能している。クラフトビール専門店として業態力を高めることで、初心者から上級者、ブルワー、ノウハウを知りたいという飲食関係者が集まる場所となり、月間売上はなんと450万円(17坪・23席)。 オーナーは中百舌鳥出身の西尾圭司氏(喜色満面堂、和泉市)。大手情報サービス会社の広告マンを経て、飲食業界に入った脱サラ組だ。1年間、日本バーテンダー協会に所属するオーセンティックバーで修業し、95年堺市・深井でバーを出店したのが始まり。会社員時代から根っからの洋酒マニアで、人と同じこと・場所は選ばないタチ。「当時何も店がない深井の中で、洋酒を700本もそろえたバーは変わりものだった。お客さんにはへりくだらず、騒ぐなら帰れというスタンス。でも本格的なバーで静かに飲みたいというニーズはあったようで、店は初めからうまくいきました」と振り返る西尾氏。 2007年の「エニブリュ」立ち上げにも、同氏の性格が影響する。2004年に軽井沢のウイスキー醸造所に見学に行った際、たまたま試飲した「よなよなエール」に衝撃を受けた。「泡もない、炭酸もない。こんなビールがあるのかと。これだ!と思いました」。頭にあったのは、クラフトビールにニーズはあるのか・儲かるのかではなく、「お客さんを驚かせたい」という思い。周囲からは猛反対にあいながらも、各地のブルワリーやビアフェスを回り、東京のクラフトビールバーへも飲みに行きながら、知識や人脈を育てていった。 クラフトビールの魅力についてこう話す。「なんといってもビールですからカジュアルに飲めて、小ロットで季節限定品が多いのも楽しみの一つ。また、ファンと作り手の距離が近く、SNS的つながりがあります。ビアフェス等での交流も盛んなため、マニア心が満たされやすい。日本酒やワインではそうはいきませんからね。ビアフェスの参加人数も一気に増えています」。 一方で、ブームに対する憂慮もある。「流行りに乗じてクラフトビールを扱い始めた飲食店は多いですが、ブルワリー側が望む品質管理ができていない店が多い。店のスタッフ自身に経験が少ないから、樽から注げれば『これが完全なクラフトビールの味』だと、何の疑問もなく提供してしまう。お客さんは本来の味ではないビールを飲んでいるケースも多いと言う事なんです。これは非常に危険ですよ。店の味がブルワリーの評判に直結するわけで、ブルワーのみなさんが作った商品を預かっている気持ちでやれないなら、安易に扱わないほうがいいと思います」。同店では、数百万をかけクラフトビール用に店舗を改装。温度とガス圧制御を徹底し、鮮度管理。ロスは極めて少なく、1日で1リットル出るかどうかだという。 今後の新規出店は人材ありき。西尾氏と同等レベルでブルワリーの思いを汲み、クラフトビールに情熱を注げるスタッフが育つことが条件だ。「クラフトビールは価格面からいっても、決して広いマーケットにはならないと思います。でも、エッジのきいたドリンクが好きなコアなファンはいます。そんな方々を大事に、一過性のブームに乗らず地に足のついた店でありたいですね」

(取材=横田ちはる)

店舗データ

店名 クラフトビアダイニング eni-bru
住所 堺市北区中百舌鳥町2-71 イルグランディB1
アクセス 地下鉄御堂筋線「なかもず駅」、南海高野線「中百舌鳥駅」から徒歩3分
電話 072-255-8317
営業時間 17:30~翌1:00
(フードラストL.O.24:00、ドリンクL.O.24:30)
定休日 無休
坪数客数 17坪・34席
客単価 3600円
運営会社 株式会社喜色満面堂
関連リンク eni-bru
関連リンク 喜色満面堂

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