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焼肉に後付けされた大量消費、高級思考に「ちょっと待った!」 これぞ焼肉の「原点回帰」〜いつでもどこでも1人でも!〜


いつの頃からだろう。焼肉が庶民の口から遠ざかり、ハレの日にしか食べられないような高嶺の花となったのは。ヌーベルシノワや高級フレンチを思わせるハイソサエティな空間で朦々と立ち上がる煙で視界が曇ることもなく、上品に会話が進む。そんな流れに「ちょっと待った!」。無性に肉が食べたくなったら、いつでもどこでも懐具合を気にすることなく、グループではなくたった1人でも楽しめる、そんなスタイルを確立させようとブランド肉の聖地・神戸から上がった狼煙、それが「大衆立ち焼肉さすらいのカンテキ」プロジェクトだ。


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左からW.M.JAPAN 代表取締役山口氏、株式会社OICY代表取締役 兼子氏、さすらいのカンテキプロジェクト 塾長 宮本氏、編集長 今富(インタビュアー)、株式会社OICY副社長 山川氏。立ち食い焼肉スタイルを広げようとプロジェクトが始まった。


名前の由来は、「無類の焼肉好き」の塾長(同社では店長をこう呼ぶ)が日本全国を行脚して(さすらい)出会ったうまい肉をカンテキ(七厘)であぶり、地産地消の食材と共に、お客様にふるまうイメージにひもづいている。

 仕掛人は、株式会社W.M.JAPAN(さすらいのカンテキ本部、京都市)。代表以下パートナー全員が「無類の焼肉好き」で、これまでいろんな形で飲食、外食業界に携わってきた、いわば「食のプロ」たちが自分たちの知恵や経験、人脈、アイデアなどを持ち寄って立ち上げた組織である。コンセプトは「本当に良いお肉をリーズナブルに余す所なく」だ。2,200円という驚きの客単価を設定しながら、同店で扱う精肉はすべて黒毛和牛4等級以上。他店であれば値が張るランクの肉を使っても低価格で提供するために、彼らが凝らした“創意工夫”は実に見事なものだ。


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W.M.JAPAN 代表取締役山口氏。1日終わって夕方少し焼肉を食べる。お財布を傷めない価格で。家に帰ったらまた奥さんのご飯も食べる。そんなニーズはたくさんあって、自分にとってもあって欲しいお店なんです。

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業態開発の中心のであった塾長の宮本氏。盛り合わせは独自の入手ルート。良い肉だからこそ切り落としも上手に使い盛り合わせの量・質ともにこだわっている。


例えば、徹底したイニシャルコストの削減。「立ち焼肉」というスタイルから広い空間はいらないと判断。1人で切り盛りするにはむしろ狭小なぐらいが都合よく、カウンターをメインとした造りの中華料理店などの居抜き物件を選ぶことで、ダクトの組み立てなど無駄な改築費や設備投資費を抑えた。他にも、食材はすべてカット加工されたものを使用して職人を置かない、営業時間を短くするなど、人件費を極限まで抑えることで、「うまい肉は高くつく(だから滅多に口にできない)」という焼肉店の抱える問題点(お客様の抱えるジレンマ)をつぶすことに成功した。


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OICY代表取締役 兼子氏。飲食事業だけでなく不動産事業も立ち上げ、物件の提供を急ぐ。焼肉は目的客が来店してくれる。注目されずらい居抜きや立地の店舗も有効活用できると自信を見せる。

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飲食経営者向けの著作を多数出版もしているOICY副社長の山川氏。独立開業者にとってもリスクを大きく軽減した出店が可能と話す。まずは経営を安定化させ、しっかりと自分の夢に近づいていってほしい。


 「無類の焼肉好き」たちだからこそ気付いた問題点(ジレンマ)はまだある。通年人気の部位はヒレ、サーロイン、ロース、夏場ならバラにカルビに需要が高まるが、それ以外の部位だって流通しないだけで、言うまでもなく、うまい。牛の頭数は減っているというのに人気部位だけを食い荒らす「大量消費」の考えから脱却できなければ、コストは上がる一方である。その問題点を潰すのが、コンセプトの「余す所なく」なのだ。きれいにトリミングされ成形された肉はどうしても値が張る、それはホテルや高級店に流通すればいい。さすらいカンテキでは、トリミングや成形にはこだわらない。味と品質が良ければお客様は満足すると踏んだ。だから、部位はお客様が選ぶのではなく、店側に「お任せ」いただく。メニューは「盛り合わせ」「精肉追加」「ホルモン」の3つのみ。安かろう悪かろうではない、良い肉をリーズナブルに、自信を持って提供することで、高級店と変わらぬ味、品質ながら、コストダウンを可能とした。塾長は「どの店もよかれと思ってやっていることだろうが、多過ぎるメニューは、実はお客様は頭を悩ませるだけ」であり、「メニューを限定することでそのジレンマは解消され、しかも客単価の引き下げに一役買っている」と言うのだ。


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盛り合わせとドリンクを頼んでも2000円で満足して頂ける。タレには九条ネギを使うなど素材にもこだわる。

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焼肉業界の常識や既成概念をまさに打ち砕く勢いで誕生した同店。2016年5月のゴールデンウイーク明けにオープンした2店舗「大衆立ち焼肉さすらいのカンテキ三ノ宮酒場」「大衆立ち焼肉さすらいのカンテキ西明石酒場」どちらも、滑り出しは上々とのこと。

駅前でもわかりずらい立地。しかし“焼肉好き”なら誰もが思わずふらりと立ち寄りたくなる店構え。ハレの日だけでなく、いつでも食べたい時に気軽に立ち寄れて、1人でも気兼ねなくさっと肉を炙ってちょっと一杯。そんな光景が日本中のあちこちで当たり前のように見受けられるようになったら、なんと幸せなことだろう。そんな“焼肉好き”たちの期待を一身に集め、目指すは全国チェーン展開、100店舗達成だ。まずは神戸の2店舗の今後の動向に注目しよう。




Data:
▶︎大衆立ち焼肉さすらいのカンテキ三ノ宮酒場
651−0094
兵庫県神戸市中央区琴ノ緒町5丁目4−11西川ビル1階
080−4236−2915
営業時間 17時~23時

▶︎大衆立ち焼肉さすらいのカンテキ西明石酒場
673−0016
兵庫県明石市松の内2丁目6−3マホロバビル101
080−4395−3471
営業時間 17時~23時

株式会社W.M.JAPAN
http://www.naritayajp.com

(取材=西村ゆきこ)

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