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【飲食店人材採用の新潮流vol.4】株式会社RETOWN HUMAN 代表取締役 宇都裕昭氏インタビュー

飲食業に特化した紹介予定派遣や求人サイト「飲食人.com」を展開する株式会社RETOWN HUMAN(以下、リタウンヒューマン)。居酒屋から高級ホテルのレストラン、病院や学校の厨房など、あらゆる業態、規模、職場の採用ニーズを扱い、サイトへの登録者数は現在約10,000人。母体の株式会社RETOWNは主に飲食店経営やFC本部を行っているが、そこからなぜ分社化し、人材ビジネス業を手がけるようになったのか。その背景に飲食業界で働く人間の厳しい現実と、採用側の課題が見えてくる。


単なる人員確保で終わらない!
紹介予定派遣とは、スタッフの定着を追求し、
「組織作り」をサポートする新しい採用スタイル


株式会社RETOWN HUMAN 代表取締役 宇都裕昭氏

【リタウンヒューマン 紹介予定派遣の特徴】

店舗   → 求人依頼
人材紹介←   リタウンヒューマン    登録   ← 応募者
→ 仕事紹介

●応募者は、3カ月の試用期間、リタウンヒューマンからの派遣スタッフとして勤務。
●3カ月の勤務後、店舗・応募者双方の合意のうえで、正社員となるため定着率が上がる。
●費用が発生するのは、3カ月間の派遣料と正式採用時の紹介料(求人依頼や面接までの費用は一切無料。応募者が正式採用後1年以内に退社した場合、紹介料を返却)





―― 母体の株式会社RETOWN(以下、リタウン)は主に飲食店経営やFC本部を行っていますが、そこから、紹介予定派遣サービスを立ち上げた経緯から教えてください。


リタウンはもともと、飲食店だけの事業展開や、飲食店の店舗数で事業成長をしようと考えて作られた会社ではなく、それは今も変わりません。リタウンの代表取締役である松本と私はもともとコンサルティング業界出身で、単に飲食店を営むというよりは、飲食業界に何らかの影響を与え、業界を活性化させたいという想いがありました。しかしいくら言葉でいっても、現場で働く方々の思いやリアルな環境を知らないことには理念は具現化できません。そこで、2004年にリタウンを立ち上げて飲食店経営を手がけるようになりました。

飲食店やFC本部の運営をしているうちに浮き彫りになった課題として、人材の問題がありました。一つは採用コストの高さ。アルバイトでも正社員でも、雑誌やインターネットの求人広告を使った募集が一般的でしたが、広告に高い料金を払ってもその投資が本当に効果的なのかわからない。応募数は多くても求めるような人がいないなど、どの飲食店さんも同じように矛盾や不満を感じているのではないかと思ったのです。

もう一つは働くスタッフさんの問題。私は様々な業界の人事・労務・組織分野のコンサルティングに長年携わってきましたが、飲食業の離職率の高さには驚きました。そんな人材に関するさまざまな問題を根底から変えていくために、2005年にリタウンヒューマンの前身となる事業部をスタートしました。

――スタッフの離職率の高さの要因はどのように考えていますか?

まずは、労働時間の長さや福利厚生など労働条件の厳しさでしょう。その背景あるものは、今以上にキャリアアップや給与アップが見込めず、スタッフが人生設計を立てにくいという飲食業界自体の構造的課題だと考えています。

飲食店の収益構造には一定のパターンがあります。まず、売上に天井がある。「ひとつの店舗が昨年対比で売上が2倍になる」というようなことは、まず在り得ません。そして構造自体も、一般的に店舗の規模にかかわらず、食材原価が20台後半~35%前後、人件費25~28%、家賃が10%などで、実はどのお店も収益構造に大きな違いがなく残る利益の比率にも限界がある。これが、給料が一定額で頭打ちする一番の原因です。大型店を出店しても、その分人件費や家賃がかかるわけだから割合はほぼ変わりません。要は店舗内で働く限り、キャリアアップを図ること、もっと現実的に言えば給与アップすることに限界があるんですね。

――ある程度の年齢に達してもスキルが上がっても、給料がアップする見込みが少ない、ということでしょうか。

そうですね。私の考えでは、飲食業で働く方々のターニングポイントは35歳前後。客単価のズバ抜けて高いフレンチや料亭など高級店のスタッフさんは除きます。これは全体数からするとあくまでも例外。一般的には35歳で月収が35万くらいでそれ以上増える見込みがなく、その年齢から「独立するのか、現場に残るか」と考える人が多くなる傾向があります。しかし、現場に残って上にあがろう、本部職に就こうと思っても、希望通りに進める方は全体の1割程度。SVって店舗数に対して数割の人数比率ですよね。多くの方はそのまま現場で働き、体力に限界がきて疲弊していくようになります。当社に登録する方にも35歳以上の方がすごく多く、衝撃を受けています。
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もちろん半永久的に店舗数を拡大していけたらいいのですが、そのような規模を追う経営戦略、事業展開ができる会社はごく一部の会社でしょうし、最近、新規出店数を掲げて事業にまい進する経営者も減ってきています。実際、我々もリタウン自体も出店する店舗数だけ掲げ、事業規模の拡大を急ぐのは危険だとさえ思っています。


――だから、若い世代に独立志向の方が多いともいえるのでしょうか。

将来に焦りを感じ、残された道は独立しかないと思うのでしょうね。でも、そんな方々が全員高い志を持っているかといえばそうでもない。新規出店で5年後に残るのは2割未満という数字もあるくらいで、決して楽なプランではないこともわかります。だから「いまよりもっといい職場があるはず」と新しい店を探すわけです。でも、どのお店もおよそ同じ構造なので、結局は転職を繰り返すようになるんですね。これらが働く方々が直面する問題。飲食業に限ったことではないかもしれませんが、色濃いと思います。

 

――なるほど。スタッフを雇用する飲食店側の課題はありますか?

先ほど挙げたように、スタッフの人生を背負えるのか?と一度考えてみてほしいです。定年までとはいえずとも、長く働ける組織であるのか、ということです。今頑張っている若い社員が30歳、35歳で結婚し、子供ができ、部屋数のある家に住み…と、それでも食べていける労働条件を確保できるか、ということです。「長く勤めて欲しい」と言いながら、このあたりの課題にとりかからないと、永遠に人や組織作りに苦しむことになります。これは今後の飲食業界、外食産業において、本当に大きな課題だと思います。

また、これまで飲食業界の採用は人のツテや求人広告を使う手段が主流ですが、それについて疑問を持ってほしいということ。単純に大人数が必要ならば大量に発信できる広告がいいのかもしれませんが、2、3人でいい場合、ましてや店のキーマン1人でいいなら、やり方は違うはずです。

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